阪神大震災当時のマスコミも垣間見える、神田うのインタビュー記事

2011.04.10

  神田うのが阪神大震災の時に死者の人数がどれだけになるかで賭けていた話題がネットで再燃している。

一部でこの噂はデマではないかと言う話もあり、本人もつい最近ブログで全否定していたが、「ねぇ、うのちゃんは、何人ぐらい死ぬと思う? なんて、番組のスタッフに誘われて賭けみたいな事をやっちゃんたんです」と答えるインタビュー記事が掲載された雑誌UNO(97年11月号)のスキャン画像がネットに拡散した事で、あれ(亡くなった被災者よりも賭けで負けた自分のほうがかわいそうと言っていた話)が本当の話だったと驚いている者達などによって拡がっているようだ。

当時、この話を聞いた時、カミングアウトした一人辺りなのだろうなと思った。

震災発生後暫くしてのマスコミ報道は、死亡人数が何人になるかみたいな煽り方の印象があったし、その影響を受けて賭けているような者がいても、何もおかしくは無い。(今でこそ公営ギャンブルなどが市民権を得ているが、当時は賭け事は反社会的であると言う認識が大きかったように思う。それ故、賭け事をする者の程度の程は、言うまでも無い。)

なので、本人が本当にやっててもおかしくは無いし、(当時の神田うのは)毒舌が売りのタレントなのだから、これはウケると思ってか自分がやってるようにネタとして言っていたとしてもおかしくは無い。(ただ、何故今頃になって、この時期に雑誌記事が公開されたのかと言えば、父親が原発推進派の官僚である事が影響しているような気がします。)

本人もブログでねつ造などと否定しない所を見ると、多分真実と思われる、問題の雑誌のインタビューで注目して頂きたいのは、マスコミ(番組)のほうから賭けを誘われていたと言う点だ。
そして、もし本当に神田うのが、震災の死亡者の人数で賭けをしたとして、その事が平然と普通の女性雑誌に載るなり、(こちらは当方は未確認だが)お茶の間のテレビで放送されるなりと言う事のほうに注目して頂きたい。
この事は、このような賭け事など(当時のマスコミにとって)当たり前で普通の事と言う証とも言えるだろう。

  何度かこの編集室でも紹介してきたが、震災当初は、東京のマスコミにとっては阪神大震災は、世界のドッキリ、ビックリ映像的な衝撃映像を集めた娯楽番組に近いような捉え方をしていた節があるようにしてならない。

視聴率が取れるならば、被災者の女の子が泣く迄執拗にマイクを向ける。爆音を上げて飛ぶマスコミのヘリで生き埋めで助けを呼ぶ人の声が聞こえない。マスコミの車が邪魔して救急車が進めない。人が生き埋めになっているかも知れない瓦礫の上を平然と歩きながら取材をする。などなど、人道的にやってはならないだろうと言う事でさえも、彼らの崇高な報道の義務と権利の前には些細な事として、視聴率が取れるシーンのみを反復して放送していた。当時のマスコミは必ず正しかったので、間違った事はしないと言う論理が垣間見えた。(今のお役所などと同じ)

殆どの震災番組は、ニュース報道では無く、芸能バラエティー番組などの延長と言う印象が強かった。

「わざわざ取材しに行ってやってるんだから有りがたく思え。」と言うような傲慢な態度に感じた。

また、東京からやってきて短時間の取材で絵になる場面を確実にカメラに収めねばならないので、絵になる場面を予め想定し或る程度のシナリオなりを作ってそのとうりに無理やり取材をしたのではないかと言うような話も幾つも聞いた事がある。真偽は不明だが、中には役者を連れてきて瓦礫を運ぶ被災者を演じさせたと言う噂話もある。(複数の人間から聞いたが、今では真偽のほどは不明)

こんな無責任で視聴率重視のマスコミ報道や震災をネタにしたバラエティー番組などを見て育った若年層世代ならば、阪神大震災をネタにしても何もおかしくは無いだろう。

阪神大震災から16年も経つにも関わらず、今も大手掲示板コミュニティなどでスレッドが継続して立ち続ける「阪神大震災は笑えた」や、根も葉も無い震災時のデマ関連の記事(強姦や強盗の類など)は、元を辿れば当時のマスコミの在り方が原因だと思う。(あのスレッドに関しては、最初にネットに書いたのが、まさかマスコミ関係者では無いとは思いますが。他所でIPを抜かれて公開されているのを見ると、当時の掲示板利用者には案外マスコミ関係者も多かったようですので。)

更に(それほどまでにマスコミをルーズにした)その背景にまで踏む込めば、確かに前例の無い未曾有の大災害であったにせよ、まだ助かる人が大勢いた1分1秒を急ぐ救援活動が必然である状態で、自衛隊派遣すらせず(出来なかったと言うのは、すぐに派遣しなくても済む行政の言い訳。地震発生直後に陸自中部方面航空隊八尾基地から偵察ヘリ発進が調査済みなのだから、現地の実情は詳細に上がってきてる筈。後は割愛。)呑気に構え、後々の対応も場当たり的だった当時の国、村山政権の対応を見れば、マスコミも右へ習えしてもおかしくは無いでしょう。
人命最優先で臨まなくても良いのですよね。

もちろん、当時のマスコミの態度も幾度となく世間から批判され、幾度かの反省の上に震災報道の在り方が模索され、現在のようになっている訳です。

また、現場で積み上げられた取材情報を元に番組が出来るのでは無く、予めマスコミが用意した原稿を元にドキュメンタリー番組が作られる事が広く知れ渡るきっかけの1つにもなったのではないでしょうか。その後、マスコミのヤラセ報道やヤラセ番組などが世間でも厳しく批判され、淘汰された経緯があります。

今でも、当時の記録はネット上にも散見できますが、当時のマスコミを知らない人だと、全部デマだと思うかも知れませんね。
今のネットは、真実に見えるもっともらしい事のほうが実は嘘である事も珍しくなくなりましたので、わからない人が増えてもやむなしと言う面もありますが。

今回の雑誌記事を1つのきっかけとして、多くの人が当たり前のように信じ込んでいるニュース記事などを含め、何がデマで何が真実かを、一人でも多くの人がきちんと考えるようになればと思います。

  今回の震災、特に福島原発の報道に関しても、国内マスコミから出ているニュース報道、海外視点による報道、マスコミ外のネット発信の情報等々を収集して整理すれば、被災者にとって本当に必要な情報が見えて来るのではないでしょうか。

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