太王四神記見てます。
現在、NHKで放送中の太王四神記ですが、初回から欠かさず見ています。初回が、”韓国版ファイナルファンタジー”の特撮ドラマと言う前評判(?)もあって、録画して、テレビドラマとしては結構頑張ってるし、そこそこ良かったので、続けて見る事にしたのですが、ハマッてます(^^;)
太王四神記は、韓国でも最終回で最高視聴率35.7%をマークし、主役を演じたペ・ヨンジュンが韓国MBCの演技大賞を受賞した人気ドラマで、日本公開後も好評ならば、太王四神記2もあると言う噂もあります。今回は、冬のソナタが流行した時のような韓流ブームやペ・ヨンジュンの熱狂的なファンなどの後押しはありませんが、それとは全く異なる、どちらかといえば、韓流ブームやペ・ヨンジュンに対し嫌悪を抱いていた若い男性世代にも、人気が出ているのが特徴的ではないかと思われます。もちろん、以前のような、中国・韓国の反日運動も無ければ、それに反発する嫌韓ムードも無いので、面白いドラマならば、素直に評価しうる土壌ができてきているのだと思われます。
では、なぜ、日本のドラマでは無く、韓国のドラマを見ているかですが、以前にも触れたかたと思いますが、例えば、ガンダムの富野氏が、先日台湾で公演した内容に類似した箇所があるように思いますが、(日本のドラマ制作サイドには)『バカ集団がいない』と言う点に行き当たるのではないでしょうか。もちろん、頭が悪いなどの意味では無く、それが好きで熱狂的に心底没頭できるような制作集団と言う意味です。日本の映画黄金期があったのも(失礼ながら)映画馬鹿が携わっていたからであり、ウルトラマンが今日までも残っているのも、(まったくもって失礼ながら)特撮馬鹿が携わっていたからであろうと思いますが、日本のテレビの現状は、これだから、自然と見る機会が減るのかも知れません。もちろん、太王四神記は日本円で52億円もの巨費投じて制作された破格のドラマ故に面白く無い筈はありませんが、少なくとも、日本のドラマとは比較にならないほどに、ドラマが好きな者が大勢携わっている事が画面を通して伝わってくる作品である事が、見る者を面白いと感じさせている最大の理由なのではないかと思います。
ドラマの内容は、大雑把に言えば、紀元前の韓国(朝鮮)神話(?)の神とその四神(青竜,朱雀,百虎,玄武)が、高句麗の時代に蘇るまでを描くお話の模様で、特に1話は、ガメラのような巨大な亀、マンダのような巨大な竜、ラドン(或いはリトラ)のような巨大な怪鳥がフルアニメーションCGで登場する、怪獣物の特撮映画にも似た内容と言う”ツカミ”が印象的で、日本人から見れば、特撮歴史ファンタジー作品として、(ありえない)空想のドラマと言う認識ですが、韓国では、韓国の(神代の時代からの)歴史を映像化した作品として、リアリティのある話として解釈されている(?)面もある模様です。と言うのも、韓国では、韓国神話が教科書にも載り、学校で教えている(いた?)らしいようです。確認していないので、”らしい”ばかりで申し訳無いですが、日本も戦前は、臣民に対しヤマトタケルノミコトの神話を教育し軍国化していたのですから、もし本当であっても、何も違和感はありません。韓国神話を学校で教える事は愛国心に繋がりますが、北朝鮮との戦闘に対する備えを今も必要とする、徴兵制度のある国故でしょう。
太王四神記を、少し韓国の歴史から眺めて見ると、ぺ・ヨンジュン演じる主役の談德(タムドク)は、実在した広開土王(高句麗王19代目)で、韓国の領土と勢力を唯一拡大した存在で、次の韓国紙幣の顔として国民から高く支持されたほどに、韓国人には尊敬される存在の模様です。また、彼は”太王”とも呼ばれていた事で、この太王四神記が、韓国人には広開土王のドラマである事が理解されているだろう事が推測できます。
ドラマは、神話的ファンタジー・男女の三角関係のラブストーリーなどと共に、時代劇的な派手な戦闘も描いており、この日本人には見慣れないような見慣れたような(?)戦闘シーンがある事で、見入ってしまっている面があろうかと思います。(もちろん、昔の日本の時代劇などからすれば、かなり劣る水準ですが)。敵に相当するのは、自身も王であると主張するヨンホゲと、その裏から糸を引く、何千年も生きているとされる、怪しげな大長老率いる謎の火天会なのですが、この大長老が、”信長”(織田信長)にしか見えず、火天会の殺戮集団も(手裏剣などを使う)”忍者”にしか見えない事で、暗に日本を敵役に仕立て、対日感情に火をつけることで視聴率を稼ぐ事を目的としているのかと、やや腹立たしく感じましたが、事実はちょっと違うようです。
と言うのも、この広開土王の話と言うのは、375年〜413年の話で、これは、韓国で発掘された広開土王碑に基づく話で、その広開土王碑に、(大雑把に言えば)”倭(日本)が支配していた、百済・新羅を、広開土王が取り返した”と言う内容の記述があるそうです。なので、韓国人の立場としては、所属不明の火天会などでは無く、もっとハッキリと日本である事を描くべきだと考えている人がいたとしてもおかしくは無いと考えられるものを、日本へ配慮しうやむやにしていると言う見解があるようです。
私自身、歴史に疎いほうなので、良くはわかりませんが、こちらの年表などを見ると、確かに日本(大和朝廷)が百済・新羅・高句麗へと出兵などしたなどの歴史がある模様です。しかし、物語の根本の広開土王碑にまつわる幾つもの記事を眺めていくと、様々な興味深い見解があり、特に近年では、”倭”は日本(大和朝廷)の事では無く、日本の九州近辺に勢力を持っていた者を指すなどの解釈も大きいようです。(興味のある方は、是非、検索などしてお調べ下さい) そう考えると、太王四神記に登場する火天会を、国籍不明・正体不明に描いているのは、正しい歴史認識の上で行っているのかも知れません。
もちろん、太王四神記が面白いのは、前述のように、ドラマ好きの国民が多い韓国で作られた、(多分)ドラマ馬鹿な制作集団によるものだと考えますが、単なる歴史ファンタジーと言う捉え方では無く、以上のような歴史解釈を考察しながら見て行くと、より一層楽しめるのではないかなと思う次第です。
■太王四神記 無料壁紙 ドラマのハイライトシーンのギャラリーなども有ります。
■ペヨンジュンCM動画 太王四神記最終回迄の予告編もあります。
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