どうして、オレオレ詐欺が無くならないのか考察する

2009.07.16

 オレオレ詐欺が減少しています。
”警視庁 H21.6.19更新 「振り込め詐欺(恐喝)」の認知・検挙状況等について(平成21年1〜5月)”によれば、昨年平成20年は19年と比較し増加に転じた物の、本年21年1〜5月は、平成16年以降最も少ない数字になっている。

しかしながら、件数は大幅減少しているものの、今年5ヶ月間でも被害額は21億円を超えている。企業相手や金融絡みの詐欺では無いのだから、やはり相変わらず凄い金額だ。

では、どうしてオレオレ詐欺が無くならないのかについて短くまとめると、今の携帯電話は、犯罪者を増やす為のアイテムとして見る事ができる点がある。
更に端折ってすすめると、”どうして、携帯電話を子供に使わせるとダメなのかを簡潔に言うと”で述べた事から引用すれば、そもそも、昨今の高機能な携帯電話はスパイツールであって、「スパイのように、探偵のように、身分を隠し、人を欺き、裏を巧妙に欠いて、情報を盗み出し、工作活動をしてしまう人間にしてしまう」と言う点が、大人にもあてはまるからだ。(例えば、性的な携帯隠し撮り事件が絶えない事が実証例でしょう)
また、「電話1つあれば、どこでもオフィス」が携帯電話であるならば、「口先だけでビジネスをする人を乱造している」と同じ事なのだ。

では、オレオレ詐欺をどうすれば防げるかですが、各自治体や公的機関がネットや広告・機関紙などで幾度も注意を促しても、すぐに別の新手の手法で来るので、何年間も効果のほどが疑われてきた。
個々人が危機感を持ち対策を十分にしようが、更に知恵をつけた詐欺師集団を上回るほどの知恵の働く一般人など、そうはいない。安全対策が高度化するほどに、難解な詐欺事件が増えるだけに過ぎないだろう。
迷惑メールをフィルタリングするように、いかがわしい電話を受信しないような、決定的に遮断する何かが必要になる。

オレオレ詐欺を無くす方法としては、電話に何らかの方法で認証方式を導入し、認証を得ない電話は一切受信拒否をする事などは、容易に発想できる。
しかし自動化された認証手続き方式を、全携帯電話・全固定電話に導入するのはあまり現実的では無いだろう。

多分、そのようなシステムの代用となっているのが、ひとまず居留守をかませる留守電機能なのだろうが、発信者情報(発信者携帯電話情報)の何らかの機械的照合無しでは、口の巧みな者なら容易に近親者や権威者になりすまし、迂闊に電話を取ってしまわせるのだろう。逆に言えば、照合を補佐する機械的な機能が電話にあれば、相手が信用できる者か、判断し易くなるように思う。

例えば、発信電話番号のみでは無く、電話発信者のおおまかな場所,携帯電話メーカーや、(警察や弁護士などの権威者と名乗る場合は)公的機関名の表示に加え、(近親者の場合を想定した)音声からの簡易的な性別,年齢,及び声門による簡易的本人一致率などを示す機能を付加するだけでも、大幅に改善するように思われる。

発信者情報の受信者への送信が現在の固定電話回線で可能なのかはわからないが、受信機側での音声解析を行う付加装置・付加機能は、容易に低コストで実現できるのではないだろうか。

しかし、これはオレオレ詐欺撲滅の決定打にはならない。本人認証を得ないならば、どこかに抜け穴はあるだろう。専門的測定機器では無い低廉な機械が判定する人間の音声解析ならば、脆弱性も短期間で見つけられるだろう。もし脆弱性が無いとしたならば、別の形で携帯電話を使って組織的に効率良く行動する、強盗・ひったくりや、巨額な詐欺行為を働く、犯罪集団へと変わるだけだろう。

オレオレ詐欺などの携帯電話を使った犯罪を無くすには、どこにでもいそうな普通の若者の携帯電話利用者を、犯罪の世界に容易に踏み込まなせない環境を作るのが良いのではないか。
簡単な事だ。

煙草を吸うのがカッコイイCMや広告が無くなって、公共性を意識したマナー広告が増えて、煙草のパッケージに人体に有害であると記載したら、本当に若者の喫煙者が減りましたよね。
携帯電話だって、同じじゃあないでしょうか。

携帯電話で自由勝手に喋るのが、カッコイイとオシャレだとか、挙句の果ては持っているだけでエグゼクティブだとか、社会の勝ち組や成功者であるかのような、広告のイメージ戦略が長く続き過ぎているように思います。

携帯電話1つあれば何でもできるかのようなイメージが植え付けられ、携帯電話だけで額に汗せず仕事をするのが成功者であるかのような錯覚を与えられてきて、実際に詐欺で簡単に騙せる年寄りが後を絶たず、ボロ儲けしているオレオレ詐欺報道が連日のように続けば、そりゃ、道徳観念は薄れ、これを正当なビジネスであるかのように思うほどの犯罪者だって増えるでしょう。

もちろん、携帯電話利用者はダサイだとか、使い過ぎると悪人になるかのような極端な注意広告をすべきなんて意味合いで述べているのではありません。
まずは、徹底したマナー広告を何年にも渡って再三繰り返し、”携帯電話は社会的責任を正しく認識した大人が利用する物であるかのような、秩序正しい認識を持つ利用者にする事”が必要ではないでしょうか。

オレオレ詐欺・振り込め詐欺は、携帯電話が社会に万延した事により、広まった犯罪の1つです。弱い立場の善良な独居老人達を苦しめ、社会不信にさせ、日本の高齢化社会を更に悲観的にし、経済を停滞させる、許されざる社会的犯罪です。
ならば、この犯罪を無くす事が、携帯電話メーカーに課せられた責務ではないでしょうか。

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