人はなぜ、働くのか

2009.01.25

昨今の派遣問題などもあって、ふと思ったキーワード。”なぜ 働く”辺りで検索すると、あまり見解の一致を見ない記事ばかりだったので書く事にしたが、別のキーワードで検索したら、或る程度は類似性を持った記事も幾つかあった。が、構わず書いておく事にする。(*

昔(と言っても、たかだか数十年前の戦後の話ですが)は、「働かざる者食うべからず」などと日常的に申してましたし、「私らの時は、働かねば生きていけなかったから、そりゃなんでもしたよ」などと、よく聞いています。ただ、実のところ、これは愚痴に近いもの、或いは、厳しさを教える為の、目上の人間の常套句でしか過ぎません。本当のところは、仕事ができる事は人生における楽しみであった訳です。特に、戦後、これからは日本が植民地化していくかも知れないような、夢も希望も無いどん底の時代に、ただ、働けるだけで幸せだったのです。
当時は、日本が発展し働いただけ生活が豊かになる時代だったからと言うのも否定はしませんが、働く事で生きている実感を感じ、人生が明るく感じる事が出来たのではないでしょうか。

よく「仕事があるだけで有り難い」などと言いますが、全く経済的利益に繋がらず、(仕事をするほど赤字など)逆であった場合でも、仕事も無い辛い時期を味わった人の中には、それが本音である人もいるのです。

また、働く事で、世間から一人前として認められ、結婚して子供を持ち、親や家長として子供達から尊敬され、それが人生の大きな生甲斐にも繋がっていました。

核家族化やライフスタイルの多様化などによって、果たして、ただお金を稼ぐだけで家族から尊敬されない存在になってきているのが昨今でしょう。
給料袋を手渡さず、通帳に数字が記載されるだけでは、「ありがとうございました」と頭を下げられる機会も失うでしょう。
知識や楽しみが手軽に得られる時代、唯一親が子供に教えられる社会の厳しささえも敬遠されるご時世なら、子供が親を、敬意を持って尊敬する機会を失うでしょう。
親が仕事の事で苦労や失敗して愚痴を言う様子、或いはそのようなマスコミ報道を見て育てば、子供は働くと言う事に夢を見なくなってしまうでしょう。

人間も1つの動物として見た場合、本来的には、霊長類の長として、働くと言う事は、健全な形の種の保存の根源的活動を支えるのですから、”生命の繁栄に繋がる日常”は、即ち”働く行為だけで生甲斐”なのです。

よく、個人経営の店などで「何歳まで働けるか」と言う話があります。
4〜5年前に書いた記事ですが、こちらとかこちらで書いたように、あまり売れて無いようですが、元気で楽しそうなんですよね。この界隈(神戸市長田区)は今も元気な個人商店が残っています。
百聞は一見にしかずと申しますが、ああ言った姿を皆が日常的に見ている社会ならば、「なぜ人は働くのか?」なんて疑問は持たなくなるんじゃないでしょうか。
もし、死ぬまで元気で現役で働けたら、そりゃ、楽しい人生に違い無い筈です。

*:最近は、この類のお題では、就職関連のビジネス(即ち労働市場)に従事する者が記載する記事が目立っているので、そのような業種とは無縁の者の発言は貴重な存在になっていると思われるので、書いておくと言う事です。

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