ボランティア精神って

2004.04.15

 規模の大小によって、差異はあるものの、詰まる所、人柱であったりして、誰かが犠牲に、誰かが代償を払うもやむ無しの場への名も無き者の立候補であったりするって所でしょうね。尊い精神ですけど、それに従事する者が尊ばれるとは限らないですし、自らを捧げるだけの器量や覚悟があって、ましてやなんら一切の見返りを求めない者が、従事して然るべき事だろうと思う次第で。

時として、ボランティア精神に則り、それに従事する事で、自己や家族の生活や人生すらも犠牲にし、最大限の努力を惜しみなく続けるほどに、執拗な妨害者の増加を伴い、失敗し、全ての責任を負わされ、世間から後ろ指すらさされる事もある物です。それは、決して、皆さんとは無縁では無い人の事かも知れません。例えば、既に消え去った、優れたネットの無料サービスの中にも該当していると思われる物も、少なからず存在したりします。

ボランティア精神、すなわち無料奉仕精神。無料のネットサービスに於いては、一般社会人が、無料奉仕に従事して行く為には、会社と同じように経済にも深く関わりながら安定した活動・運営を継続できるように従事せねばなりません。道楽ができるほどの恵まれた人はそうはいません。

そこまで大げさで無くとも、普通の個人サイトでも、どこかの誰かの為に、良かれと思ってサイト運営をしている人も少なく無いでしょう。そして、人気が出るほどに、サイト運営に従事する時間が増え、生活が犠牲になり、惜しまれながらもサイト閉鎖を余儀なくされる。大人ですから、社会人としての責務を真っ当せねばなりません。これも1つのボランティア精神です。

困ったからと言って誰も助けてはくれないし、決して弱音を吐いてはならない。良い事をして相手が報われても、自分が報われるとは限らない。人がいいだけでは単なる道化者である事も承知している。口先だけで人が助かると言う事はありえない。全ては自分の責任。そこそこ大人をやってれば、誰でも知ってるような事です。だから、ボランティア精神を保ち続ける。そんな所じゃないでしょうか。

逆に、物欲、金欲、権力、名誉欲… そんな利己的な思いだけで万人が動いてる訳では無いと言う事でしょう。その1つの要素に、ボランティア精神も存在する場合もありえる訳ですが、ごく普通の小市民では、その精神だけでは生きていける訳でもありません。

”ボランティア” と、何か特別な事と思われがちですけど、実は日常生活の中にある、慈愛や慈悲に通じる気持ちの延長線に位置する物で、その自身の積み重ねられた経験、能力、器量や、縁、めぐり合わせなどによって、自然な形で発揮すべき事で、故に、無償で、無料で、何も見返りを求めず奉仕できる事なのだろうなと。決して、エゴから出ずる衝動であっては、人は救えないだろうと。

川を上る魚の中で熊に食われる魚は、死にたいと思って食われる訳でも無く、人間のように論理的に考えてボランティア精神で自らが犠牲になる訳でも無い筈で、最後まで死にたく無いと本能で感じながらも餌になる覚悟を決めるのだろうと思います。しかし、それが食物連鎖となり自然環境の維持に役に立っている事や、より強い種の保存の為に役立っている事を、DNAレベルでは理解しているのかも知れません。大げさに言ってしまえば、ボランティア精神とは、そう言った生命の根源的な部分に通づる物では無いのだろうかと。

学生さんにしても、一流企業に入って、良い生活をして、偉い肩書きが欲しい為に勉強している人もいるでしょうけど、青春や恋愛を犠牲にし、世の中の役に立つ人間になる為に健気に苦学している人も今もいるでしょう。その思いも、ボランティア精神に通づるのではないだろうかと。

募金、弱者救済のような、わかり易い形以外は、そうじゃないって事でも無いし、ボランティアをしたら何か特典があるとかってのは、ボランティアなんかじゃないし、ましてや、ボランティアを事業とする事自体、それが効率性を求めた結果かも知れなくても、どこかしら言葉を都合よく利用している節があり、どこかおかしいように思う。

日本人は形にこだわるし、型にはまって無い物は排他的に扱う。ボランティア精神は、誰しもが持っていながら、本物のボランティア活動は、一部を除いて報われる事も無い。”良くしたい”,"役に立ちたい"と思った自分の気持ちに正直に行動した自分自身の自己満足に帰結し、それが全てである。

PS

半永久エネルギーとしての燃料電池の開発が進んでいるようです。エネルギー問題を解決する事こそ、派閥や国家の利権絡みでの力の押し合いを無くし、死者を減らす事につながるのだろうと。それをわかって研究開発に従事されている方々こそ、本物のボランティア精神の持ち主ではないだろうかと。

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