阪神大震災1.17の記憶 当時の行政,パペポTV つるべ&上岡龍太郎

2016.01.17

 震災から21年。今年は1.17阪神大震災の記憶の風化が言われ、”未来”の文言がついたが、率直な感想を言えば、今はどこかしら韓国などのアジア諸国と日本の関係の未来志向をイメージするような印象も受ける。

個人的には1.17は1.17でいいと思ってる。風化してしまうのは、経年とともに人間の記憶が薄れて行くなどもあって仕方無いとは思うが、例えば広島の原爆ドームのような、形で残そうとせずに震災の街の記憶をキレイに何もかも無くして(その場から撤去してしまった)からによる部分も大きいのだろう。

まるで戦争で被害を受けて焼け野原同然となった新長田の商店街の後に立った、現在も集客も悪く空きスペースも多く閉店も更に増えていきそうな高層ビル群であり長田区の震災復興の象徴的な建造物のアスタがあるのだから、その中に震災直後の街を再現した実物大を含むジオラマなどの展示でもすれば、集客効果も望めるし、震災の記憶を後世まで残し易いように思うが、長田区在住の市民から見れば、あまり積極的にやってるような印象は無い。実物大鉄人28号に代表されるように長田の街はアニメ関連に力を入れているのだからジオラマもし易いように思う。そんなにお金も掛けずにできるんじゃないだろうか。

もちろん、行政としては震災の記憶を包み隠さずさらけ出すと言う事は当時の行政の対応のまずさの露呈に他ならないのだが、そんな官僚的で悠長な自分の責任では事無かれ主義的でなんとかなる時代じゃないのだから、やっていい事と判断できるならきちんとやっていくべきだろう。

さて、いつのように時間が無いので、本文も校正的な作業は殆どせず思いつくままに書いているのだが、阪神震災の1.17の記憶と言う事で、簡単に、象徴的な震災の記憶である以下2つをご紹介しておきたい。

尚、筆者(当方)は阪神大震災当時30代の社会人で当時住んでいた実家は半壊の被害を受けている。参考 阪神大震災から10年。震災は人災。

阪神大震災1.17 発生直後の村山政権,自治体,自衛隊などの時系列の記録

阪神大震災では、地震発生直後から、総理官邸では何が起きていたのか、詳しく時系列で紹介されている文書です。
震災後、何年にも渡ってほうぼうでコピペされていましたが、数が少なくなっているので、当編集室でもコピペしておきます。またこう言った記録があった事で、現在の政府や自衛隊の迅速且つ適切な災害派遣にも繋がってきたと認識しています。

尚、原文はやや右寄りの反左翼的目線では書かれているとは思いますが、適切に加筆修正され正確性の高いよくまとめられている記録なので、原文のまま1月17日の内容のみ掲載致します。

■韓国より遅れて対策本部作った村山、ダイエーより対処遅れた村山
17日
05:46 地震発生
05:50 陸自中部方面航空隊八尾基地、偵察ヘリ発進準備。
05:50 第三十六普通科連隊(伊丹)営舎内にいた隊員約三百人による救援部隊編成開始
06:00 CNNワールドニュース、トップニュースで「マグニチュード7・2。神戸で大地震」と報道。
06:00 村山起床。テレビで震災を知る。
06:20 テレビで急報を知ったダイエー中内功社長出社
06:30 百里基地、偵察のためRF4発進検討するも断念。4ヶ月前北海道東方沖地震でRF4が墜落、社会党の追及で当時の指揮官が更迭されたため。
06:30 中部方面総監部非常勤務体制
06:30 村山、園田源三秘書官に、電話で、状況把握を指示(園田本人は「そのような事実は無かった」と否定)。
06:30 警察庁が地震災害対策室を設置、大阪、京都、奈良などに機動部隊の出撃命令を出す
06:35 第三十六普通科連隊(伊丹)、倒壊した阪急伊丹駅へ伊丹署の要請で先遣隊出動
06:50 陸自第3特化連隊(姫路)非常呼集
07:00 スイス災害救助隊、在京スイス大使館へ、日本政府への援助申し入れを指示
07:00 金重凱之秘書が国土庁防災局に電話で状況確認し、村山に「特にこれといった情報は入っていない」と報告。
07:14 陸自中部方面航空隊八尾基地、偵察ヘリ1番機発進。高架倒壊等の画像撮影。出動要請がないため訓練名目。
07:30 村山総理に一報
07:30 陸自第3特化連隊(姫路)、県庁へ連絡部隊発進
07:35 第三十六普通科連隊(伊丹)、阪急伊丹駅へ48人応援
07:50 石原信雄官房副長官、川崎市の自宅を出発。
07:58 阪急伊丹駅救助活動48人
08:00 官邸、防衛庁に、派遣要請がきているか確認するも、要請無し。
08:00 ダイエーが地震対策会議。中内社長、販売統括本部長にヘリコプターで神戸へ飛ぶよう指示。おにぎり、弁当など1,000食分と簡易衛星通信装置を搭載。
08:11 徳島教育航空郡所属偵察機、淡路島を偵察。「被害甚大」と報告。
08:20 西宮市民家出動206人
08:20 貝原知事、職員の自動車で県庁到着。対策会議開くも派遣要請出さず
08:26 総理、官邸執務室へ(予定より1時間早い)。テレビで情報収集。
08:30 セブンイレブン災害対策本部、被災地店舗へおにぎりをヘリ空輸開始。
08:45 村山「万全の対策を講ずる」とコメントを発表。
08:50 韓国政府、「日本関西地域非常対策本部」(本部長・金勝英=キム・スンヨン=在外国民領事局長)設置
08:50 石原信雄官房副長官到着。「現地は相当酷い」とコメント。
08:53 五十嵐広三官房長官「非常災害対策本部を設置し小沢潔国土庁長官を現地に派遣する」と発表。
09:00 呉地方総監部、補給艦「ゆら」が神戸に向けて出港。
09:05 国土庁が県に派遣要請促す
09:18 村山、廊下で記者に「やあ、大変だなあ」、視察はしないのかとの質問に「もう少し状況を見てから」とコメント。
09:20 総理国土庁長官、月例経済報告出席。地震対策話題無し
09:40 海自輸送艦、非常食45000食積み呉出港
09:40 神戸消防のヘリコプターが上空から市長に「火災発生は20件以上。市の西部は火災がひどく、東部は家屋倒壊が目立つ」と報告。市長は直ちに県知事に自衛隊派遣を検討するよう電話で要請。
10:00 村山、月例経済報告終了後廊下で、記者の「北海道や東北と違い今回は大都市での災害だが、対策は?」との質問に「そう?」とコメント。
10:04 定例閣議。閣僚外遊報告。非常対策本部設置決定。玉沢徳一防衛庁長官には「沖縄基地縮小問題で(上京してきている)大田昌秀知事としっかり協議するように」と指示。震災についての指示なし。
10:10 兵庫県知事の名で派遣要請(実際には防災係長が要請。知事は事後承諾)
10:15 中部方面総監部、自衛隊災害派遣出動命令(村山の指示で3000人限定。到着は2300人)
10:25 姫路の第3特科連隊の幹部2人がヘリコプターで県庁に到着、県災害対策本部の会議に参加
11:00 村山、廊下で会見。記者の「総理が現地視察する予定は?」との質問に、「状況見て、必要があればね」。「総理は行く用意はありますか?」、「そうそう、状況を見て、必要があればね」。
11:00 村山総理、「二十一世紀地球環境懇話会」出席。「環境問題は国政の最重要課題の一つとして全力で取り組んでいく」と発言。
11:00 京都機動部隊が兵庫入り。
11:15 村山、廊下で記者に、山花貞夫前社会党委員長の新党結成問題に関して、「山花氏は自制してもう少し話し合いをして欲しい」とコメント。
11:15 非常対策本部設置(本部長・国土庁長官の小沢潔)
11:30 非常対策本部第1回会議
11:34 五十嵐官房長官、記者に社会党分裂問題を聞かれ、「それどころじゃない」と発言し首相執務室入り。現地で被災した新党さきがけ高見裕一からの電話情報を元に、村山に事態の重大さを力説。
12:00 新党さきがけ高見裕一、現地から官邸に電話。自衛隊増員要請するも、村山「高見は大げさだ」と冷笑
12:00 政府与党連絡会議中、五十嵐官房長官が村山に「死者203人」と報告。村山「え!?」と驚愕。
12:48 淡路島・一宮町役場の中庭に自衛隊ヘリ三機が到着。隊員がオートバイで被害調査を実施。
13:10 渋滞に阻まれていた自衛隊第三特科連隊215人が到着。救助活動を開始。
13:30 防衛出動訓令発令検討するも断念
13:30 大阪消防局隊応援部隊到着
13:50 社会党臨時中央執行委員会が「党内事情より災害復旧を優先すべき」として、山花氏の離党届を保留。
14:07 村山総理、定例勉強会出席
14:30 小沢国土庁長官、現地空中視察へ
15:36 河野洋平外相「総理は人命救助と消火に力を入れるようにといっていた。総理が現地に行くのは国土庁長官からの報告があってからのようだ」とコメント。
15:58 村山、廊下で記者の「改めて聞くが、総理が現地に行く可能性は?」との質問に「明日、国土庁長官から現地の状態を聞いてな」とコメント。
16:00 村山総理、地震後初の記者会見。「関東大震災以来、最大の都市型災害だ。人命救助、救援の万全を期したい」、「近く現地入りする」(初めて現地入りを明言)。5分で終了。
18:00 補給艦「ゆら」が姫路港に入港。緊急物資を積載し、神戸に向かう。
19:50 兵庫県知事、海上自衛隊に災害派遣要請
21:00 兵庫県知事、航空自衛隊に災害派遣要請
筑紫「温泉」発言。火災の猛烈な業火で立ち上る煙を見て。

1.17震災の記憶 パペポTV つるべ&上岡龍太郎

1月17日 本日の阪神大震災関連番組と震災関連の動画で紹介している、 阪神大震災後の笑福亭鶴瓶(当時44歳)と上岡龍太郎(当時53歳)のパペポTV。 当時としては上岡龍太郎氏は関西のご意見番的存在で、当時の関西深夜の時事放談とでも思って頂いたらいいと思う。
震災後の生々しい話が聞ける。ネットでも何回か見た事がある方も多いと思うが、これが現代の”震災の語りべ”でもあろうと思う。

以下、一部当方が動画より抜粋してご紹介しますが、当時、被災者同士の世間話でも似たような会話が日常的にあった事を申し添えておきます。

笑福亭鶴瓶「(テレビの報道に対して)あんだけの人死んで、人数ざぁっと出てるにも関わらず(中略)いや、ワイドショーと変わりませんで。」

上岡龍太郎「だからテレビが映すと全部芸能になってしまう。」

笑福亭鶴瓶「政治家はアホですわ。(中略)一回一回会議会議てね。会議しててね。(中略)官房長官、まだ現地行って無いらしいですよ。」

上岡龍太郎「例えば大阪府知事なんかでもね。えー 米と台所があれば自分で炊き出しをすればいいと、発言したと。大阪府知事ですから、大阪人の代表としてのコメントとなるわな。」

上岡龍太郎「官僚てのは何かと言うと、失敗をせんように何とか数字だけを見て上へ行こうという連中ですからね。(中略)人間的な物を働かすと役人として出世しませんから。役人として出世する奴は非人間的な奴ですから、だから、そういう奴がトップにいますから、数字とか、或いは統計が出てから、或いはみんなと協議してから、って言う事しかできない判断力。つまり、何でもええと、あとで俺が全部責任持つから早急に行けと言う神経の奴なら、役人出世せんから、そんな奴は府知事にはならんわな」

上岡龍太郎「(自衛隊が来て無い話しを受けて)瓦礫の石のけてるのが、その家族2,3人がぽっぽぽっぽと。あれでは墓いかんやろと」

上岡龍太郎「取材陣のヘリコプターがあの被災地の上を飛び回るでしょ。あの爆音の為に、生き埋めになってる人達に、外からどんなに声かけても、その人達に爆音の為に聞こえない。(中略)だからね。あれは報道陣が何百人か殺してますよ。」

上岡龍太郎「だからね、日本のテレビにはヒューマニズムなんちゅうもんは無いんですよ。人間愛なんてのはね。つまりあの変なセンチメンタリズムはあるんですよ。悲しがろう、思い切り悲しがろう、悲惨さを喜ぼうと言う」

上岡龍太郎「(活断層の記事を)でもね、週刊現代は書いてましたね。この活断層が今日大阪で地震が起こる。野坂昭如さんも週間文春で、大都市の地震には、ていう文を寄せてた。」

笑福亭鶴瓶「瓦礫の上に乗って、この下には言うて乗りながらレポートしてる人いてるでしょ。あんなんね、下にほんまにいてたら、もっとだめになりますよ。平気であんなとこよぉ乗れるなぁて。」

上岡龍太郎「(支援物資が行き届かないボランティアが足りて無い話の流れで)関西エリアの大学生はこれからボランティアやったら単位やると、そのほうがよっぽど勉強ですよ。」

上岡龍太郎「ソーセージ1本5000円なんちゅうのも話題になっててね。ビニールシートも8000円や1万円出してる。あの便乗値上げしてるところも、マスコミ勇気もって言うたらどないや。」

笑福亭鶴瓶「なんでこんな時に24時間テレビせぇへんのや。そうでしょ?」

上岡龍太郎「結局、テレビは芸能なんですよ。」

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