ネットの無料サービスは終わりに向かっている?

2008.12.17

 今では古株に属すると思われる、コミュニティーサイト(当時は、簡単無料ホームページの1つとして、当サイトでも、積極的に紹介していた)カ○ェスタの有料化が、ネットで密かに話題になっているようだ。

 現会員数は170万人を超えるらしいが、当時は私の周りでもかなりの利用者がいた筈だが、今もカフェ○タを使っていると言う話は聞かないので、相当数の幽霊会員がいるのではないだろうか。トラフィック数を参照しても、コミュニティサイトとしては、さほど大きいとは言い難くなっている。また、SEO的に効果のあるブログが登場以降、ネット検索等での露出の機会も減って久しい。

 カフェス○有料化について、現会員の発言を、C○festa内をざっと見渡したところ、「無料が良かったから使っていたのに」の意見が目立つ。中には、かなり厳しい意見も少なくは無い。一部ユーザーが実施しているアンケートでは、有料化なら引越しをするが全体の1/3を超えている。
 カフェ○タは、開設当時はTTNet系の旧パワードコムによって運営されていたが、現在は、某MCJグループが運営しているそうだ。ITMediaのインタビュー記事によれば、MCJグループの上澤馨社長は、「広告モデルはバブルが作ったモデル」と述べている。

この件を、数多くの無料サイトの盛衰を傍観してきた、無料情報サイトの管理者として考察してみたところ、以下の2つの考えに辿りついた。

1:徹底した事前リサーチを行わなかった結果
 米国金融危機に伴うネット広告費の減少は、2009年以降も下降の一途を辿る事になり、慢性的な赤字状態が当分は続くだろう。しかしながら、カ○ェスタ買収の目的が自社製品の拡販であった事は、適切であったとは言えず、徹底した事前リサーチを怠った事が原因ではないかと思われる。かわいいアバターでたわいも無い日常会話を楽しむカフェスタの会員が、果たしてそのようなコアな製品に興味を持つ訳が無く、買収自体が誤った判断だったと考える事ができる。

2:有料化で収益の改善を図れる可能性のあるモデル
 無料だから使うと言う意見は少なく無く、別のSNSなりを探すユーザーはかなりの数になるだろう。しかし、仮に半数以下になったとしても、有料化に伴う有料会費による収益の増加と、コストの削減が得られる。そして、重要な点は、”或る程度の小額ならば払うユーザー”や”ネットサービスにお金を支払うのに抵抗の無いユーザー”を獲得できる点だろう。(*1)
これらユーザーに興味のある有料のサービスや商品を販売すれば、通常のコミュニティサイトよりも、遥かに大きな確率で収益につながる可能性があると推測する。

上澤馨社長が、「広告モデルはバブルが作ったモデル」と述べたのは一理あると考える事ができるが、これはネットサービス全体の現状とは一致しない。例えて言うならば、無料ネットサービスの代表格のGoogleを否定する事になる。もちろん、当サイトで紹介している各種の無料サービスを実施している数万に及ぶサイトをも否定する事に繋がって行く。

「ここから先は有料になります」 と言うセリフを記憶しているだろうか。
KDDIの2000年のインターネットのCMだ。確かに、当時は無料サービスは、実質的にはお試し無料も少なくは無かったように思う。最初は無料、暫くすると有料。レンタル掲示板なども当時は無料は有料サービス移行の為のお試しサービス的位置づけだった。故に、本当の無料サービスを紹介する無料情報サイトも乱立した。

しかし、昨今のブログサービス等では、殆どで無料の物しか用意されていない。囲い込みと広告収入のみで収益に繋がったからだと推測する。しかし、最近は閉鎖する無料ブログサービスも少なく無くなってきた。もちろん、今後は有料化が増えるなどと言う気は毛頭無く、当サイトのデータベースを参照しても、無料のネットサービスは、有料化後、閉鎖・終了と言うケースが一般的であり、有料サービスがそんなに容易に成功するとは思ってはいない。

ネット全体の収益が悪化する事で、広告収入に因らないビジネスモデルの模索も増加するのかも知れない。
しかし、最も基本的な事、コミュニティーサイトは何が肝心かと言うと、結局は、人なのだ。
そこに、あの人がいるから私は行く。あの人が楽しいから私も楽しい。そう言う世界だ。
果たして、有料化後も、人を惹きつけるような誰かが数多く残るか、この点が最も重要なのかも知れない。

もし仮に、カ○ェスタの現ユーザー層に相応しい企業が運営していたならば、このような事は起きなかったのかも知れない… と思うのだが。

*1:カフ○スタでは、月額315円の会費を、コーヒー1杯分程度の価値として、会員に有料化の理解を求めている。だが、主婦や学生の多いコミュニティでは、インスタントコーヒー1杯の価値観になりはしまいだろうか。インスタントならば、スティックタイプを含めても、1杯約10円〜30円になる。逆に見れば、インスタントコーヒーと言う発想をしないユーザーを求めていると言えるように思う。コーヒーを飲むならば、店でサービスを受け、料金を支払うのが当たり前と言う価値観を持っていれば、315円のコーヒーは安い部類だろう。私には、そう言うユーザーを、これからのカフェス○が求めているのではないかなと感じた。

無料サイト集 Kooss (run)記

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