幸満ちゃん事件に思う

事件発生直後から話題になっていた事件なのに、犯人逮捕の少し前位から、何故かこの事件に触れる報道が少なくなってきたなと思っていた。

理由は、犯人が知的障害（単なる知恵遅れらしいが）など、何らかの障害を持っている事で、人権に配慮しているか、或いは障害者ならば無罪（事故的な扱い）故に、マスコミ報道も静かになったのかと推察する。
ただし、静かながらも警察による取調べ内容の報道は継続され、答弁内容は初期の頃から二転三転し、本日現在、「かっとなって、水に沈めた」と殺害を自供をしている模様だ。
犯人は、事件発生後のマスコミのインタビューでは、幸満ちゃんを見た事すら無いと嘘を述べていた。アリバイについてはその時間は図書館にいたとも述べていた。
犯行内容の詳細はまだ不明な点はあるものの、死因を特定し難い水に沈めた窒息死で殺害後、死体を遺棄し、衣類や靴はレジ袋で分けて処分する、と言う模様だ。

これら一連のマスコミ報道による、犯人の供述からわかる事は、事件の隠ぺい工作を行った事、事件の重大性を理解していたのではないかと言う事だ。そして、この事から疑問に思う点は、果たして本当に知恵遅れなりの知的障害を持った者が、このような事件を起こせるかと言う点に尽きる。

この場合の考えられる論理的な答えは、”１つは警察が違法な取調べ等をし犯人の供述が嘘である可能性”。”１つは犯人は障害者では無かった可能性”。”最後の１つは障害者でもこのような事件を起こす事はできる可能性”。などの３つに集約されるだろう。
ただし、警察の捜査以前に、マスコミの調査段階で、犯人は事件に関連性の深い人物である事が明瞭になっている事や、本事件での警察の捜査の慎重さから推測し、警察が違法な取調べ等をしているとは考え難く、後者２点に絞られるのではないだろうか。

果たして、知的障害者がこのような事件を起こした場合、ここまで隠蔽工作が取れるのだろうか？

そこで、この疑問を解消する為に、何を以って、知的障害者と認定されているのかを調べたところ、地方自治体のサイトによれば、判断基準の元になる１つがIQらしい。IQが75以下である事が知的障害者認定の条件の１つだ。一部の自治体では91以下も含むケースもあるらしい。
ご存知のようにIQの平均値は100と定められている。75と言う数値は、果たしてそれほど低いものなのかを考えた場合、知能相当年齢を図るのに、年齢に乗じる割合である指数がIQであるのだから、21才の犯人が、仮に軽度の知的障害者と認定されていた場合、21 × 75％ ≒ 16才 となる。即ち、知能相当年齢は16才と言う意味だ。

現代社会の16才と言うと、或る程度の計画性や隠ぺい工作が出来ない年齢では無いように思う。
犯人が本当に知的障害であったとしても、軽度の内容であるらば、この程度の事件は起こせると言う解釈ができるだろう。また、自分が悪い事をしたと言う理解も十分に認識しているだろう。

犯人の知能指数がより低い可能性も否定はしないが、日常生活に差し障り無く、仕事を持ち職場で健常者と共に働く能力のある社会人である事や、TVでのインタビューの受け答えを見る限り、それほど極端にIQは低くは無いのだろうと推察する。

”犯人は障害者では無かった可能性”、即ち障害の度合に関しては、関連した詳細な報道も無く、知識の浅い門外漢が考察するには相応しくは無いが、本年北海道で発覚した、身体障害者手帳集団不正取得事件に代表されるように、中には、或る程度アバウトな物もあるのではないかと推察する。

この事件で、個人的に思うのは、願わくば、再度適切に認定すれば、犯人は知的障害者では無い、或いは責任能力があると判断される事を望みたい。
もし、犯人が無罪などとなれば、ご遺族の方々は、非常にやりきれない思いではないだろうか。
報道で流れる、幸満ちゃんの映像は、数多くの方々から愛情を強く受けて育った事が見受けられる。
ただ、幸満ちゃんの母親が、「ユキはもう帰らない」と述べた言葉の持つ重みも大きく感じる。
今後犯人がいかに裁かれるかよりも、事件の真実が全て明らかになる事が、せめてもの、幸満ちゃんの供養なのかも知れない。

蛇足ながら、もちろん、本事件の原因を障害者と言う大枠で括るのは極めてナンセンスと解釈している。
言うまでも無く、障害者故に起きた事件では無く、犯罪を犯した者が、たまたま或る程度の知的障害を持っていたと言う話に過ぎないだろう。
或る事件の犯罪者が、たまたまインターネット、アニメ、ゲームなどに興味を持っていれば、同様な趣味や境遇を持っている者全員が予備軍である訳では無いのと同じ話だ。

基本的な事を言うようで申し訳無いが、障害や個人の趣向が事件を起こすのでは無く、人の心が犯罪を犯してしまう事を、忘れてはならないだろう。

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