オンラインストレージの速度って、そんなに遅いのだろうか?

2008.08.04

 最近でも無いけれど、Webサービスの中では、オンラインストレージサービスが人気のようだ。データの一時保管・一時預かりサービスと言う事で、数年前はそれほど人気が無かったサービスなのだが、ブロードバンドの普及や大容量データにも対応し、セキュリティもそこそこしっかりしていて、匿名でも使えると言う便利性からか、利用者が増えているのではないかと推測する。

数百MB程度のデータならば、オンラインストレージを利用する事で、ディスクに焼いて郵送すると言ったような旧来の方法による手間とコストと時間の浪費を、大幅に削減できる。
他方、パソコンの外部ストレージとして利用する際は、速度的な不満は否めない。数MB程度の文書や画像、せいぜいMP3などの音楽ファイル位が我慢できる限界だろうか。動画ともなれば、ストリーミングサービス(動画共有サイト)を利用したほうが、再生時の負荷が少ない分アドバンテージがあるかも知れない。効率を考えれば、数千円と安価になってきた、数GBのFlashメモリーを利用するのが、最善かも知れない。

最近人気のミニノートパソコンでも、オンラインストレージサービスを標準で用意している物もあるようで、EeePCでは、オーナーは現時点で20GBのオンラインストレージサービスが利用する事ができるが、ユーザーの意見を見ると、やはり速度的な不満があるようだ。

ダウンロード速度に関しては、専用のツールを利用するタイプのオンラインストレージは別として、ダウンロードURLを取得しブラウザから通常通りダウンロードするタイプで、ダウンロードツールで分割ダウンロードに対応し、ダウンロード速度制限を施していないサービスならば、通常よりも数十倍以上と、飛躍的に速くなる事が推測される。無料ソフトで紹介している、irvineなどのダウンロードツールが対応している。但しirvineは、ver1.3.0以降では分割ダウンロードは使えなくなっています。)

しかし、アップロードに関しては、オンラインストレージの速度的なスペックよりも、最もネックとなるのは、プロバイダの上り制限のほうではないかと思われる。
例えば、一般的なNTTのフレッツADSLシリーズでは、モア3を除いて、8Mタイプ〜モア2迄の上り速度は1Mbpsと低速だ。1Mbps=1000Kbps と言う事は、単純計算では125KB/Secとなる。10MB程度の高音質なMP3ファイルだと、1分20秒以上もかかってしまう。しかし、実際には、様々な通信上のロスなどもあるので、軽くそれ以上の時間を要してしまう。

オンラインストレージやその他サービスの速度比較

 そこで、具体的に、オンラインストレージ以外を含めたアップロード速度比較で紹介してみよう。
利用したファイルは、動画ファイル 約19MBのファイルをlzh形式に圧縮した約18MBのアーカイブファイル。この容量にしたのは、他のサービスでの容量の上限を考慮したので、20MB以下とした。
環境は、無線LAN(IEEE802.11g 54Mbps)でネットに接続しているノートパソコンと言う、ごくありきたりな内容。RWinの最適化などはしていない。
テストの時間帯は、混雑していないと思われる早朝、午前6時〜7時を選んだ。各1回計測。

・MSN SkyDrive 3分30秒 約88KB/Sec (オンラインストレージ)
ドロップしてアップロード開始後、完了する迄

・FileTruck 2分40秒 約113KB/Sec (オンラインストレージ)
添付ファイルとしてファイル転送。完了する迄。

・YouSendIt 2分51秒 約106KB/Sec (オンラインストレージ)
”YOUR UPLOAD WAS SUCCESSFUL”の表示が出る迄。

・MEGAUPLOAD 3分2秒 約100KB/Sec (オンラインストレージ)
アップロード完了が表示されるまで

・firestorage 2分39秒 約114KB/Sec (オンラインストレージ)
”アップロード完了しました。”が表示されるまで

・Gmail 3分14秒 約94KB/Sec (フリーメール)
添付ファイルとして送信。”しばらくお待ちください…”の表示が消える迄

・某国内無料サーバー 2分41秒 約113KB/Sec (無料サーバー)
倉庫利用可の自宅サオバーによる国内無料サーバー FFFTPを使いFTP転送

以上、当サイトでご紹介してる、各種ネットサービスを使った場合。添付上限20MB制限のあるGmailは案外使えると見るか、意外と遅いと見るか判断が分かれるところだろうか。国内某無料サーバーは、名称は伏せていますが、あまり知名度の高く無い、学生運営のごくフツーの自宅サーバーです。

参考迄に、以下は、当方のLAN内ファイルサーバーに、同様に無線LANでアクセスし、利用した場合。

・LAN内ファイルサーバー 約15秒 1240KB/Sec
ファイルサーバー(Samba)の共有フォルダへドラッグ。完了迄

・LAN内ファイルサーバー 約19秒 958KB/Sec
ファイルサーバーへFFFTPを使いFTP転送

比較とは関係無いが、試しにファイルサーバーに有線LANで繋いだ場合も計測してみた。速過ぎて計測出来ないので約10倍の183MBのlzh圧縮ファイルを使った。その他の環境は同一で同じノートパソコンを使っている。この程度の速度があれば、申し分の無い、外部ストレージ感覚になると思う。ファイルサーバーのスペックはこちらを参照(ごくありきたりな自作のサーバーだと言うのがわかると思います。UPSは入れてますけど、2年以上つけっぱなしで、何のトラブルも無し。今のパーツの相場なら、予算2万円ちょい位でしょうか?)

・LAN内ファイルサーバー 約18秒 10410KB/Sec
ファイルサーバー(Samba)の共有フォルダへドラッグ。完了迄

・LAN内ファイルサーバー 約18秒 10410KB/Sec
ファイルサーバーへFFFTPを使いFTP転送

以上、余談的な部分が長くなってしまいましたが、現在の一般的なユーザーの場合では、プロバイダの上り速度がネックになっている事で、気軽にオンラインストレージを、外部ストレージとして使うのは抵抗があるだろうなと言うの点は、ご理解頂けただろうと思う。もし、分割アップロード等の高速転送に対応していているようなオンラインストレージを使ったとしても、上り速度がネックになってしまうのだ。

それでも、オンラインストレージが遅いと思う方は

オンラインストレージの速度に不満のある方は、まず、光接続(FTTH)の上り速度に余裕のある、プロバイダーを契約してく必要があると言う事だろう。プロバイダー比較を見ても、最近は光プロバイダーも低料金にはなっているが、(セットでは無い)単独での年間コストなどを考慮すれば、安上がりで動画も十分に見れるADSLでも不満の無い方も少なくは無いだろう。コストを増やしたく無い人には、MTUやRWinの調整で幾分かは改善する可能性もあり、比較的簡単に設定できるので、試す価値はあるだろう。但し、先にも書いたように、業務などで頻繁に使う必要が無いならば、軽量でどこにでも持ち運べる、安価な大容量Flashメモリー等を使うほうが遥かに効率が良い事は間違いない。

ただ、オンラインストレージの本来の役割としての、データ一時保管サービスを、主たる利用対象とするならば、一般的には、何かの作業をしながら、バックグラウンドでアップロード作業をすれば良いので、業務などで頻繁に大容量データを送信する必要が無いならば、不満を持つ事もあまり無いのだろう。

オンラインストレージのアップロードが遅いと嘆いている方は、まずご自身の環境を見直して速度の改善に努めるか、オンラインストレージとは、(外部ストレージとして使うのならば)そもそもその程度の物と見限るか、別の選択肢を探すのがいいかなと思われます。

参考:無料オンラインストレージ一覧

無料サイト集 Kooss (run)記

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