スーパーの半額商品販売の考察に見る日本の内需拡大

2009.09.19

 ここの所、家の事情もあって、我が家では午後8時以降に食事する機会が増えた。スーパーに行く時間帯も遅くなると、自然と値引き商品が目に付く。一定の時間を過ぎると、当日に売り切らねばならない惣菜などは全品半額となっているケースもある。これは、非常に有り難い。(ただ、安いのでついつい買い過ぎ、食べ過ぎてしまう事もあるので、注意する必要があるのですが。)

 もう少し景気が良かった数年前迄ならば、半額でも売れ残って、中には80〜90%オフ位の100円や50円シールのような物もあった記憶があるが、目にしなくなって久しいように思う。そこまでしなくとも売れていると言う事か。更に遡って、国民総中流意識の頃ならば、「安かろう悪かろう」で、あまり見向きもされなかったようなスーパーのプライベートブランドが今や花形商品になる時代なのだから、”安い、旨い、安全”の3拍子が揃った商品が、更に半額ならば需要があって当たり前なのだ。

ただ、大型量販店では無い地方のスーパーがこれだけ安く売れる理由を考察した場合、理由は昼間のスーパーにあると考える。昼間から夕方にかけては、比較的高齢者老が多い。

手押し車を押して歩く、足の悪そうなご婦人などは、惣菜を大量にまとめ買いなどもしている。頻繁にスーパーに来れない独居老人も少なく無いのだろう。
スーパーにしてみれば、これら常連のお得意様を大量に確保する事が第一になるのだろう。
故に、それらお得意様に人気の、安心して購入できるおいしい商品を、潤沢に用意しておく必要がある。
その中で、日持ちのしない惣菜や弁当、或いは刺身などの鮮魚料理などは、時間が来れば、値引き販売し、最後は半額などで販売する事になる。
確かに、半額商品と一緒に別の商品も売れる事を想定しての、目玉商品的役割もあるかも知れないが、薄利多売商法のスーパーでは、それ自体が目的とは考え難い。

肝心な事は、これら商品は最近の大型スーパーが、大量生産し低コストで販売しているプライベートブランドなどの低価格商品では無く、通常のコストで製造販売している製品なので、商品の質としてはそれ以上ではないかと思われる点だろう。

確かに、作ってから半日以上も時間が経てば、料理の味は落ちていると思われる物も少なくは無いだろうが、買ってきてすぐに食べずに冷蔵庫に入れておいて夜に食べるならば、半額の惣菜などを買ってきてすぐに食べたほうが味のほうは質が上と言う事もあるだろう。
我が家のように、夕飯の時間が遅いご家庭ならば、夕方以降に買い物に行けば、昼間と同じ商品が安くなっている値引き商品に自然と目が行って、購入するプライオリティは高くなる。

これも一種の内需拡大の形であろうと思う。
このスーパーの半額も、比較的恵まれた暮らしができる高齢者が多数いる事で成り立っている事だ。彼らが気前良くスーパーで買い物を続けてくれる限り、無くなる事は無いだろう。
もちろん、半額を有り難いと思う消費者もいない事には成り立たない。半額でも買わない、或いは安かろう悪かろう意識の強い消費者が多ければ、商品としてでは無く、食品リサイクルと言う名目ではあるが、飼料や堆肥などに二束三文で売却されてしまい、その損失分が価格に転嫁され、通常価格も値上がりしてしまうだろう。
このように見れば、スーパーの半額は、無駄の無い経済的効率の良い、時代にあった販売方式であろうと思う。消耗戦をしかけ食い合う、過当な価格競争のような類の物では無いだろう。

多少傷がある程度の2等品を目にする事も少なく無い100円均一ショップにしてもそうですが、高く売るだけが、ブランド価値を高め、企業利益を確保して行く事にはならない時代に、内需拡大を模索する企業には、スーパーの半額販売は、1つのヒントになるのではないでしょうか。

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