Chrome OSは、100ドルPCの普及を加速させるのではないか

2009.07.13

 Googleの新OS Chrome OSの発表で、Googleの思惑や、MicroSoftの近い将来的な動向などについて、様々意見がネット上で散見できる。

「Linuxの亜種に過ぎないのであるから、Windowsの脅威になりえる事は無い」と言う冷ややかな物もあれば
「Microsoftは、Chome OSを意識し、より、ユーザビリティに優れたWindowsを開発せざるをえなくなる」などの、MSの脅威的存在として強い期待を持った意見も散見できる。

それら意見は十分に肯ける面もあるが、他方、Chrome OSが(当初は)ミニノートPC専用の無料OSとして登場すると言う点を軽視しているようにも思える。あまりにも、ユーザーの対象が”我々”に偏りすぎているように見える点だ。
Chrome OSがミニノートPC専用OSとなる事は、合理的であるとして、広く既知されている事を基本にして、先日の記事で考察を述べた。

新たなコンシューマー向けPC用OSを開発する場合、ターゲットにする物をあげるとしたならば、ミニノートPCである事は、最もシェアを広める上で効率が良い事は、少し考えれば誰でもわかるような単純な話に過ぎない。
特に、Googleがネット企業故に、ネットと繋がる事がほぼ前提的な利用形態となっている、ミニノートPC(ネットブック)を対象にしていると言う考え方もできるが、私は、この発表を公式ブログで見た時感じたのは、”Googleは100ドルPCを諦めていないのだろう”と言う点がある。

・十分な教育を受けていない者でも無理無く使える、シンプルでわかり易いOS
・少ない記憶容量と低速CPUなど、より低廉なハードとより低消費電力でも十分に動作する、軽量OS
・安全の概念が極めて乏しい発展途上国の共有体の子供でも安心して使える、強固なセキュリティ

”シンプル・軽量・セキュリティ”は、公式ブログで述べられている、Chrome OSの特徴の3本柱だ。
これらは全て、現ミニノートPCの一般ユーザーが歓迎すべき点であるが、同時に、100ドルPC(OLPC)に搭載された場合、よりコストが安く魅力的なマシンとして、導入が促進される事が期待できるのではないかと考えられるだろう。
もちろん、100ドルPCの流通が、OLPCプロジェクト(*1)である必然性は無い。国内でも特価で2万円台であるように、海外でも特価品なら200ドル台(限定特価等は100ドル台もあるようだ)で常時販売されている、ミニノートPCそのものの低価格化が一層進めば、目的は達成される。(*2)
また、標準ブラウザは、Google Chromeになるので、ナローバンド環境の多い開発途上国でも、MSのIEほどストレス無く使え、グローバルに繋がる価値観の多様化した閉鎖的では無い教育環境が与えられる事で、その目的はより一歩達成に近づく事は間違い無い。

 単純な話だ。ほんの少し10年ほど前の事を思い出しても、当時よりも十分に低廉な僅か10万円以下のハードウェアでも最新のOSが十分動作する恵まれた環境を当たり前のように思っている私たちには、それがGoogleが出すOSである事以外には、興味の対象にしかならず、導入の理由付けにしかならない。他方、年収数万円〜数十万円程度の開発途上国の保護者にとって見れば、例えば価格が1000円程度安くなっただけでも、それは家族の1週間分程度の生活費に匹敵するほどの物なのだから、非常に有りがたいに違い無いのだ。(*3)

 Chrome OSに限らず、Google vs MSなどの市場の将来像を予測するような記事はネタとしても非常に面白く、食いつきが良いだろう。しかし、単なる興味本位のネタとして考えない者ならば、ここであらためて、Googleと言う企業は、一体どういった企業だったのか、思い出しておく必要があるのではないだろうか。

*1:時間的余裕も無く、不勉強なので詳細は十分に把握していないが、OLPCプロジェクトの対象は、小学校低学年の学校教育課程であって、広い意味での教育や学問を学ぶ為の物では無いようで、鉛筆やノートすらも満足に買えない発展途上国にとっては、高価な教育教材と解釈される場合もあるのではないかと考察しています。(時間があれば、USB版のSugar OSでも使ってみます。) 例えば、オプンコースウェアのような(MIT,東大等の)高等教育機関の無料講義はネットで自由に閲覧でき、パソコンとネット環境さえあれば独学で学べる教育の機会は開放されており、そのチャンスが拡がる事が重要ではないかと考えています。

*2:OLPCですら100ドル達成は難しいのに、ミニノートPC(ネットブック)では更に難しいのでは無いかと思われるかも知れないが、Googleと言うブランドが量産をもたらせばコストが下がり価格が下がる可能性がある。また、一般コンシューマー市場向けPCならば、古くなれば中古PC市場へと流れる。ミニノートPCが普及して未だそれほどの期間が達して無い事から、中古ミニノートPC市場は確立して無い模様だが、ネットオークションなどでは、Eee PCなどは、既に1万円台での取引が行われている事を確認している。近い将来、発展途上国の青少年がミニノートPCを100ドル前後で購入できるようになる可能性は十分にあるように推測される。

*3:私達の生活水準の感覚では、10倍程度の価格にすればわかり易いかも知れない。ノートパソコンが40万円位だった頃は、一般的には高嶺の花で、比較的ユーザーは少なかったが、10万円前後になって一機にノートPCユーザーは増えた。5万円前後になって、ノートPCとデスクトップPCの売り上げのシェアは逆転した。開発途上国での購入し易い価格水準と言うのは、よくはわからないが、初回の予約だけで20万台を超えたタタ(インド)の激安自動車ナノがそうであるように、同様にブレイクスルーする価格帯が存在するのだろうと思う。

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