切り取られた映像のみを、繰り返し見せられてしまうと言う事。

2008.03.18

 あいも変わらず、映像と言うのは与える影響が強いのだろうか。百聞は一見にしかずとは言えども、思考が一方的で短絡的過ぎる人が増える状況になると言うのは、空恐ろしさすら感じる。

某世界最大の動画共有サイトに投稿された”海兵隊が子犬を投げる映像”は日米のニュースでも取り上げられた。鬼畜米英では無いが、同じく海兵隊による、沖縄の少女暴行事件の記憶冷めやらぬ状況での非道な行為に、怒りを通り越して唖然とはしたが、同時にあの映像がどこで撮影されたのかが興味の対象となった。報道では、ハワイ駐留の海兵隊との事。ハワイといえば、蛇のような天敵などが存在しない、野鳥などの野生生物にとっての楽園の地となっている。有害な天敵となるのは、(野良)犬や(野良)猫などになる。あの子犬は野良犬には見えなかったが、もしそうならば、海兵隊員が駆除をする意識を持っていた可能性を考察する事ができる。

もちろん、犬好きの私が、あの米兵の行為を肯定する気は毛頭無く、あくまで可能性の示唆に過ぎないが、(私たちの)常識に根ざした感情や扇動された者の意見を鵜呑みにするようでは、冷静な考察はできず、本質が見えて来る事は無い。(しかし、あのふざけた態度は何度見てもサイアクとしかいい様が無い)

追記:実のところ、あの動画を見た時に思い出した海外のCMがある。道路を挟んで存在する片方の森から片方の森へと(トランポリンを使って)ジャンプする小動物のCMだ。もちろん、3DCGによるものだろうが、本物のリスや鹿などに見えるほどの出来で、そのCMは、確かに面白い内容で、バイラルCMとして動画も世界中に散在する。また、これもニュース報道され話題になった「ドライブスルーを(注文だけして代金を払わずに)スルーしてみた」に関しても、気球で(マクドナルドの)ドライブスルーに入って、スルーしてしまった、同じく海外のCMがあり、これも楽しい映像作品として知名度が高い模様だ。彼らがこれら映像に影響を受けて模倣したのではないかなどと言うつもりは毛頭無いが、こう言う映像が公共の電波を使って大量に告知されるCMとして成立すると言う事は、多くの者が共感しうる笑える愉快な物として認知されていると解釈できるように思う。

”橋下知事に噛み付いた大阪府の女性職員”のニュース報道は何度か見た。知事が「始業前の朝礼は超過勤務になるのでできなかった。15分の朝礼もできないなら、勤務時間中のたばこや私語も認めない」などと述べたのに対し、突然立ち上がった女性職員が「どれだけ、サービス残業をやっていると思っているんですか」などと、強く懸命に反論した。口は悪いが、あまりにも必死に知事に訴える様子に、職員も府の改革の為にサービス残業に何も文句を言わずに、こんにちまで頑張ってきているのだろうなと思った方もいるかも知れない。

しかし、朝礼が終わった後に、その職員に報道がインタビューをした映像が、同じく某世界最大の動画共有サイトに複数アップされ、先日から人気動画となっている。

リポーター:「今、サービス残業、月どれ位あるんですか?」
女性職員:「いや、それは… 私はしてません」

結局、女性職員は、サービス残業をしていなかったと言う、耳や目を疑いたくなるような答えです。これが本当ならば、あのような嘘の啖呵を切ったのは、結局は、映像として視聴者が見る、テレビに報道される事を意識しての事ではないかと推測される。しかし、では、なぜこのインタビューで「してません」と言い切ったのかが疑問に残るかも知れないが、その点は左翼的な団体に属する者と言う話もあるので、納得できなくも無い。一般市民の目線では、これも既得権益を守る側と改革する側の争いにしか見えない。

”ダライ・ラマ14世が扇動したラサの暴動”と言う方向性が見える国内のニュース報道。僧侶達がチベットのラサの中国人の店舗などの襲撃や放火をしたり、暴力を振るっている映像などがそれで、中国国内でも同様なニュース映像が流れ、”(中国)軍隊による制圧もやむなし”と言う中国国民の意見が多数を占めている模様です。

しかし、ノーベル平和賞を受賞したほどのダライ・ラマ14世が、そのような暴力による訴えを助長させるような挑発を行うだろうかと言う疑問が拭えないところに、同じく、某世界最大の動画共有サイトに、”チベット問題を青山さんがズバッと解説”と言う、某関西のテレビ局制作のぶったまの番組の動画がアップされていたのを先日見た。関西ローカルなので、たかじんの委員会など以上に、結構、自由に物を言っていて、一言でまとめられないですが、”(警官に殺された)死者の数は報道よりもとても多い”などと述べていたのを確認しています。これより、チベット人が殺された事に対する怒りの過激なデモ行為であろう事が推測されます。

電話もメールもままならないと言う、情報封鎖がされていて、本当の姿がチベットからは中々漏れて来ない状況の模様ですが、色々な報道関連者の記事を見て行ったところ、福島香織さん(産経新聞中国総局記者)のブログによると、そもそも事の発端は、”ハンガーストライキの僧侶とそれを止めようとした警察(軍)が衝突、警察が発砲し僧侶に死者が出た”事であると言う内容の話があった。破壊・放火された店舗も漢族では無く、対立する回族(異教徒であるイスラム教徒)らしい。チベット族の女性による一方的な情報なので、真偽のほどは定かでは無いとされているが、個人的にはもっともらしい話と感じた。

ギョーザ事件しかりで、あってはならない事ならば、否は(元から)無しとする中国側の態度は、この事件も同じなのでしょう。オリンピック開催が間近になり、必要以上に神経質になっている事が最大の理由なのでしょうが、では、オリンピック後の中国は周辺国・周辺自治区と良好な関係が持てるように改善するかと言えば、楽観的には思えない。

食料も資源も経済力すらも中国に依存してしまうかも知れない何十年か後には、もしかしたらあるかも知れない、”日本自治区”を想定すれば、他山の石では済まされない事件です。

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