チベット暴動・チベット問題を、中国側の視点で少し考察してみる。

2008.03.22

 いわゆる”チベット暴動”に関してですが、国内のテレビ報道のほうは、本日も犠牲者19人と言う内容で一段落したかのような模様で、チベット問題勃発後、間もなく情報番組などで伝えられた、500人以上の犠牲者である点や、暴動勃発の直接的な原因が警察側の発砲による僧侶達の死去などの点で、一般ニュース報道と乖離したまま、ネットの盛り上がりのみが続いている状況に思えます。

 今回のチベット暴動、と言うか、チベット紛争と言うか、そもそもの原因がチベット側の僧侶や市民の暴動にあると考えている日本人は、既に少数派であろうと思う。青山繁晴氏,宮崎正弘氏,勝谷誠彦氏,宮崎哲弥氏などの出演されたテレビの情報番組及びそれらがネット上の動画共有サイトにアップされ、人気動画となっており、高く評価されている。また、日本の著名ブロガーも数多く、今回のチベット問題に言及し、冷静に考察をされているのを拝見している。この事からも、多くの日本人が類似した情報を得、中国が起こしたチベットの騒乱、暴動であると認識している者が多いと思う。或いは、偶発的なトラブルが引き金になったのかも知れないが、このような暴動を中国側が全く予期していなかった筈は無いと私も考えます。

では、なぜ中国がこのような事を起こしたのかについて、大きく分けると、”オリンピックテロを警戒し過ぎていた事”、”中国の支配的な歴史観に基づくもの”、”中国政府内部の権力争い”などの説が主なものであり、個人的にはこの中では、オリンピックテロに極めて神経質に中国が警戒していた事が、不幸な惨事をもたらしたのではないかと考えます。もちろん、人権を軽視する国柄である事が、警察の安易な発砲を促したと思われる背景もあり、例えば、つい最近まで政治犯をテレビで公開処刑を放送するような土壌があるなどに窺う事ができると思います。

他方、チベットに目を向けると、暴動に発展した主たる原因は、チベット族の人権の迫害である点も、各情報番組で著名人が口を揃えて異口同音に述べている通りで、中国漢民族の文化的・経済的な侵略行為やチベット族への歴史的な差別があって故で、その鬱積した不満が、オリンピックを控え国際的注目を浴びる時期に、世界にアピールできるなどと言う点で、起こるべくして起きた事であろうと思います。

さて、これからは、(多分)全く、個人的な解釈に基づくチベット問題の考察になります。もちろん、場末のサイトの管理人のボンクラ頭によるものなので割り引いてお読み頂きたいのですが、いわゆる、”文系の人間”では無い者の考察が少ない?ような印象を受けたので、手短に言及させて頂く次第です。あぁ、興味があるので書くけれども、基本的には、プログラムやらサイト運営のほうに思考は奪われているので、深く調査・考察して内容をまとめて書くような事はできないと思いますので、ご勘弁をば。

中国のエネルギー・資源問題が原因?

よく言われる中国が抱える問題は、”日本以上に危機的な少子高齢化問題”,”環境問題(砂漠化,公害)”,”汚職問題(収賄)”に加え、エネルギー問題があります。近代化めざましい中国ではエネルギー消費量が爆破的に増大する事で深刻な危機感を持っていると思われます。その為、産油国として注目が集まるアフリカなどと積極的にエネルギー外交を数年前から行いながら、環境対策や省エネルギー技術の導入の為の温家宝首相の昨年の日本来日があり、また、原油価格高騰に伴い、中国国内のエネルギー資源開発にも積極的に取り組んでいます。

世界第2位のイラクの石油埋蔵量をしのぐとされる油田の発見や、10兆立方メートル以上と言う、莫大な埋蔵量があるとされる、新疆ウイグル自治区(チベットと同じく中国西端にある自治区。チベットの北部に位置する。今月7日には旅客機内でテロ未遂事件が発生してる模様)やチベットの天然ガス資源などがそうです。これら資源の中国への移動の為に、パイプライン建設が進んでいる模様です。また、チベットは、レアメタルであるリチウムを世界埋蔵量50%以上有し、クロム,銅,亜鉛などの鉱物資源が豊富で、一説には世界最大の埋蔵量と言われるダイヤモンドもあります。

以上のように、新疆ウイグル自治区やチベットが保有するエネルギー開発は、中国にとって不可欠のものであり、政治的な絶対的な統治と早急な近代化が必要であった為に、宗教的・民族的摩擦が生じる事は了解の上ではなかったかと考えます。

中国の格差社会が原因?

現在、中国が日本から学びたい事のトップは、経済力・技術力などでは無く、格差社会の是正にあると思われます。中国の経済発展と市場改革は、とてつもない大富豪を生み出したが、同時に、所得格差と物価上昇などによって、極端な格差社会を生み出し、主に農村部などでの多数の貧困層が問題になっています。社会的成功を信じ血を吐く思いで勤勉に学ぶ学生もいますが、経済的困難から農業をやめ乞食をする者、人身売買なども横行し、中国国内の人権軽視に繋がっていると推測されます。また、中国野菜に関しては、先般ご承知の先の冷凍ギューザ問題もあり、日本のみならず、中国でも消費者の購入の手控えなども起きており、より一層農村部が苦しい状況に追いやられているのではないかと推測されます。

中国の国内問題に関しては、周辺自治区との関係改善よりも、まず、この状況を改善する事を優先したのではないかと考えます。現在、チベット暴動のみがクローズアップされていますが、中国国内の格差が引き金となったとされる暴動は、年間数万件が発生している模様です。(最新の情報では、暴動のみに関して言えば、1日辺り200件以上と言う話もあります) 靖国批判の小泉総理時代のように、不満の矛先を海外(中国以外)に向けられなくなっている事で、不満が正面から爆発する危険性があり、この国民の暴動を鎮圧できる状況が既に中国国内には存在し、改善を図る為の政策、即ち、2010年迄の中国第11次5カ年計画にある事項、経済の安定、農村の発展(都市化)と格差拡大の是正などを優先していたのではないかと考えます。(チベット族500万人よりも、漢民族12億人が暴動を起こしたほうが怖いと言う事です。)

米国のサブプライムローン問題の影響?

サブプライムローン問題の実態がわかりませんので、中国の投資マネーが実際にはどの程度サブプライムローンに流れているのかわかりませんが、中国最大の輸出国の米国経済の低迷による、中国の輸出の伸びの鈍化ははじまっており、本年1月迄前年同月比20%以上で推移していたものが、2月は6%台に急激に落ち込み、特に米国向け輸出の鈍化が激しいようです。また、この米国経済の状況は、先のトヨタの韓国進出で推測されるように、長期化すると考えられます。また、ここ数年右肩上がりで急上昇を続けていた中国株も、先般ご承知のように、昨年暮れ以降暴落を起こしております。(現在は、チベット暴動による中国の株安報道が大きいですが、ハンセン指数などを参照すると、昨年末から2月までの指数のほうが遙かに暴落しています。)

中国の格差社会が国民の大多数から容認されているのは、もちろん、日本などよりも人権が軽視されるお国柄である点もそうですが、日本の高度経済成長期と同様に、経済発展の継続により、”今が貧困でも将来は豊かになる”と考える者が大多数を占めている事が背景にあると思われますが、本年に入って経済と金融に陰りが生じた事が、その”信仰”の崩壊の予兆として、中国政府も強い危機感を持っていたのではないかと考えます。

これらの状況から、チベット暴動以前に、より一層の、エネルギー資源開発の促進や、格差社会による暴動の鎮圧などが政策として強化されていたのではないかと推測します。

 

以上のように、私は、チベット暴動は、中国問題が引き起こした事件であると考えています。或る意味、中国当局の言うとおり、内政干渉であって(中国)国内の問題である事もうなずけます。もちろん、中国(漢民族)がチベット人に対して迫害した歴史は承知しており、例えば、ネット上に公開されている”ガワン・ワンドゥン語る チベットの真実”や、現在の騒乱に至るまでの迫害や差別に関する記事や写真なども見させて頂いており、同様に人間的な感情で憤慨しています。ただ、120万人の犠牲者を出したと言うチベット動乱の1950年代ならいざ知らず、国際世論の厳しい目のある21世紀の現代に、どうして武器を持たない僧侶達を問答無用で射殺するかのような事が起きてしまうかを考える事が大切なのではないかと考えた次第です。

オリピックボイコットや胡錦濤国家主席の訪日拒否など、より一層の中国の自制を促す為にも、国際的な批判も必要な事かも知れませんが、基本的に、あの国は、(国内外から)批判するだけで何とかなるような国でも無いように思われます。

ここでも何度か述べてきているように、湾岸戦争の時も結局はそうだ(石油利権)と言うオチで、近年では(原油価格のコントロール目的の)イラク戦争しかりで、日本ができる最大の国際平和の為の貢献は、省エネルギー・環境技術と共に、より画期的な再生可能で高効率な新エネルギー開発であると考えていますが、チベット問題にしても、この例に漏れる事が無かったのではないかと考えています。

追記:2008/04/16

現時点では、中国株の暴落が顕著になってきている事から、米国サブプライムローン問題の影響が最も大きかったのではないか、と推測しています。

昨年暮れ辺りから、現在にかけての中国株指数は約半分へ落ち込むほどの、(実質的な)強烈なバブル崩壊が起きており、株で失敗した自殺者もいるなどの情報もあります。ただし、北京オリンピックが成功すれば、また上昇に転ずると信じる個人投資家が多く、日本のバブル崩壊時ほどの悲観さは漂って無いのではないかと推測しますが、それ故に、なんとしてでも、どのような手段を使ってでも、オリンピックを成功せねばならないと言う中国側の強烈な姿勢が、たとえば昨今の聖火リレー関連の報道でも垣間見えているのだろうと思います。

これは、一部の個人投資家や富裕層のみの問題では無く、中国情報関連サイトなどの色々な情報を総合して見てみると、都市部では、景気は悪化し賃金は上昇しないにも関わらず、恐ろしく物価が上昇している事で、生活苦状態の者が増加し、デモや暴動などの危険性が高まっていると推察されます。

詰まるところ、既述のように、『わずか数百万のチベット族の暴動よりも、漢民族12億人が暴動を起こす事が、何よりも怖い』状況が現実的になりつつあるのだろうと思われます。

過去の暗い歴史を振り返れば、日本にとっても、対岸の大火事では済まない話になりはしまいでしょうか。

あと、中国の執拗なダライラマ批判についてですが、小泉総理時代の靖国参拝問題は、中国や韓国国内の政治によるシビリアンコントロールとしてのバッシングだった事は、今は広く知れ渡っていると思われますが、今の、中国によるダライ・ラマバッシングは、同じ理屈だと考えれば、わかり易いと思います。

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