DVD感想 ゴジラ×モスラ×メカゴジラ 東京SOS

2004.09.13

 2003年のゴジラ×メカゴジラに続く、2004年正月のゴジラ作品、”ゴジラ×モスラ×メカゴジラ”。たまたま、ネットで知った、ラムネのオマケDVDの長いめの予告編映像から、最近のゴジラ映画もそれほど捨てた物では無いと思い、前からDVDで見たいと思っていた作品。

 ストーリーとしては、前作の続編になる。前作を知って無くても十分に楽しめるが、続編を予想させるような終わり方の前作を見た者ならば、この作品は期待を持って見れただろう。21世紀のゴジラ vs メカゴジラは2部構成だったと考えたほうが良いのかも知れない。

 粗筋の紹介などは不要な感じのするゴジラ映画の定番的な流れ方です。正月映画と言う事で、清清しさが残る終わり方と、ゴジラ映画特有の何らかのテーマを持っています。本編では、それが、人間が神の領域を侵してはいけない、或いは死せる物の霊を鎮魂せねばならないと言ったニュアンスを感じますが、それと絶大的な恐怖の存在である筈のゴジラから人類を守ると言う部分に反する点があり、結果的に、益々ゴジラとは何も怖いモンスターでは無い描き方に結実してしまっている点が残念です。(本当に怖いのはゴジラのようなモンスターを生み出した人間のほうで、ゴジラはそれを訴える為にそこにいるんだと言う印象を、映画全体から受けるのでは無く、最初のゴジラ同様に、最後でそれを感じればいいのではないかと思うのですが)

特徴としては、強いて言えば、前作の謎が今回、明らかになって行くと言う辺りが見せ所でしょうか。ドハデなアクションも少なく、目だったCGの使われ方もしていないのが残念です。前作でのメカゴジラ機龍の圧倒的な強さとは逆に、弱弱しさすら感じました。テーマと合致させるにはやむを得なかったのでしょうが、怪獣映画としては残念な描かれ方に思います。

面白かったのは、昔のゴジラvsモスラを彷彿とさせるような話の流れ方。卵から2匹の幼虫が出たシーンで、『もしかしたら…』と思いましたが、そのまんまの展開でした(^_^;

 ところで、ゴジラは何だと言えば、モスンターでしょう。怪物でしょう。しかし、近年の日本の特撮技術の高さから、均整の取れた造形の美しさすら感じるほどになりましたが、初代のゴジラの顔はバランスも悪く崩れており動きも不自然でぎこち無く、全体的に暗いモノクロ映画で、音質も悪かったので、それを暗い劇場で見ると本当に気持ち悪く、怖く見えたように思います。これは、日本の幽霊映画、怪談映画にも通じる点があり、笛や三味線などの弦楽器でわざと音階を不安定にさせた効果音を使い、薄暗い中で正体がわからずに幽霊をぼんやりとした輪郭で浮かび上がらせると言った手法などがそうで、日本の怪談映画だけで無く、海外のモンスター映画では、最後迄全体像がわからなかったエイリアンの最初の作品などもそうです。

 日本人と言うのは、基本的に保守的な民族です。故に世界にも通用する日本の代表的な顔としてのゴジラを守らねばならないと言うのがあると思いますが、では何故、ゴジラが日本映画でここまでも人気を保ち続けていられるかを考えると、そのような保守的な考えは、怪獣ゴジラを駄目にするだけであろうと思います。

本年、最後のゴジラ作品(ゴジラファイナルウォーズ)が映画化されます。予告映像らしき物をちらりとTVで見ましたが、素晴らしい出来栄えのようです。スピード感のあるリアルな怪獣が上手く描かれているような印象です。タイトル通り、怪獣の戦争映画になるような予感がします。と同時に壁を破る、新しいゴジラの布石になって欲しいと思います。

ゴジラを平和の為の警鐘者にし、ゴジラが人間以上に人の過ちを理解しているのならば、そのような聖者的なゴジラを生み出した核兵器も有益な存在としてみなす事すらできます。これはナンセンスです。(東京タワーや国会議事堂を怪獣が破壊するシーンがカッコイイとか、中には”わが町も壊して欲しい”と直訴があったりって、普通に考えるとおかしいんですよね。壊されて憎く思わないと。) そのような役目は、大魔神などに任せ、破壊と殺戮を本能の赴くままに行動する絶対悪の暴君として、この世にあってはならない存在としての、モンスターゴジラの復活が近い将来にある事を願う次第です。

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