秋葉原の無差別通り魔殺人事件を、もう少し考察する。

2008.06.10

 どうも、テレビ報道を眺めているだけでは、訳がわからなくなってくる事件だ。

”生い立ち”などから、保護者を安心させる為に、特異点を導き出そうとしているのか、或いは逆に、親や教育機関に注意を促すのが目的なのだろうか。しかし、その点に的を絞れば、犯人の望みどおりに、ワイドショーを独占させ、模倣犯を生み出す事につながるのではないだろうか。(中高生時代に的を絞るのは、その辺りに保護者が教育熱を入れる故に、視聴率が取れる故ではないかと邪推する。個人的に子供の性格における教育で思うのは、幼児期の愛情が希薄である、或いは偏った愛情による情操教育の欠如などは、三つ児の魂百までで、キレ易い性格の子供に育つなどと言う事につながるだろう。だが、これらについては報道は全くなされておらず、憶測の範囲内でしか無い。また、弘前大学時代の4年間についての人となりも、全く報道されていないように思われるが、何か理由があるのだろうか。←マスコミの誤報のようで、短大を出た後、就職をし、幾つかの会社で働いている模様。)

報道された中で、せいぜい原因に結びつく可能性があると思われたものは、進学高に進むも成績が伸び悩み、就職先などが本人の希望するものでは無かった事程度だろう。しかし、この程度の不遇や不運などは、私の知りえる過去から現在に至る、日本の競争社会においては、誰にでも起こり得てきた事で、何も特別では無い。幾ら勉強ができても、学校にいけなかった者達が多くいた事からすれば、全く理解に苦しむほどだ。(また、クビが確定していた訳でもなく、月給も20代独身で20万円もあれば、自暴自棄になるほど生活に困窮していたとも思えない。また、一人で暗く閉じこもっていたようでも無く、携帯サイトでの投稿から伺える暗さや不満とは逆に、社交的で遊び仲間も多く、それなりに楽しんでいたようだ。そもそも、逮捕直後、暴力団員などと嘘もついている事から、他人を欺くと言う行為を日頃から平然とやっていたのではないか。携帯サイトに投稿されているのは、果たして犯人の心の内を暴露した本音なのだろうか、妄想・虚言などは全く無かっただろうか、それとも、事件後にマスコミで話題になる事を想定しての、自演的なものは無かったのだろうか。トラック突入犯行直後か直前に携帯電話のアドレス帳や履歴などを削除すると言う容易周到な事をする人間が、不用意に携帯サイトに足跡を残すとは思えない。予めマスコミに見られる事を予期していた筈だ。)

 今回のマスコミ報道を好感できる点は、きちんと”携帯サイト”と述べている点だろう。犯人は携帯電話を使った、携帯サイトで、犯行予告を行った事と、それ以前から携帯サイトの掲示板機能やコミュニティー機能を利用していた事を明白にした点は、評価に値する。過去の事件などでは、大型のスポンサーである携帯電話企業に配慮してか、携帯サイト絡みでも、”ネットの事件”などとする事が多かったように思うが、流石に国内外への影響の大きな重大事件とあってか、正確に報道しているようだ。また、犯人は携帯電話によるネット利用も頻繁にしていたらしい。

 マスコミも原因を探っているのだろうが、最も重要な事は、「進学で挫折した」「職場に不満があった」などで、人生に疲れ、嫌になったからと言う程度で、過去最悪と言われる大量無差別殺人を起こしたくなると言う事は、ありえないと言う事だ。

ごく普通の理性を持った一般人にはできない事が、できてしまうと言う事は、本人に元々そのような特異な性質が内在し、それが何らかの刺激によって、触発や増幅されたと考えたほうが自然であって、”特異な性質”や”何らかの刺激”とは、実は、一般人が理解しうる価値観を超えているのだから、土台、最初から正確に理解する事なぞ無理があるのは否めないだろう。

性格に関しては、マスコミ報道では、キレ易い以外は、特に強調はされていないが、ネット上で現時点で散見できる情報では、犯人は過去のオタク的な根暗なキャラクターとは違い、社交性が高く、明るい性格のようだ。例えば、ネオ麦の事件の時などは、精神的に問題のある、ひきこもりのパソコンオタクとしてわかり易かったが、今回の犯人は、大学卒短大卒で仕事もしており、交友関係もアクティブで、カラオケや飲み会、マージャンなども積極的に参加していたようだ。ただ、携帯電話によるネットアクセスは頻繁に行っていたらしい。

目下のところ伝わってくる情報を整理しても、基本的には、先日の記事で書いた考えに大きな変化は無い。

事件の手口と日時から見て、宅間守などの無差別殺人事件を参考にし、怪しまれずに利用できる大量無差別殺害に有効なトラックを利用し、マスコミが最も注目するであろう、宅間守の犯行と同日に、国際的にも注目される秋葉原で実行した事や、警官と格闘する事を予め想定してか、警棒と応戦可能な、殺傷能力の高い刃物と、購入できる店が福井にある事を理解していた事などから、この事件は、短期間で計画したものではなく、かなり以前から、殺人に興味を持った者が計画を綿密に構想し、実行に移したのではないか… などと言った推測もできる。

犯人は、この計画を立てる為に必要な情報を、携帯電話で入手していたのだろう。

事件発生当初、現場では、”テロだ”と叫んだ者がいたなどと聞いていますが、もはや、これはテロだと思ったほうがいいのかも知れません。

”奇声を上げながら、笑みを浮かべ、数分間の間に7人を殺害し、10人を負傷させた” と言う行為を行った者を、一般人の社会通念などの理解に基づいて解釈するのは、もはやナンセンスではないでしょうか。

宅間守などのような極めて異端な性質では無く、一見すれば、どこにでもいるかのような今回の犯人を、性悪説的に見る事は、日本人としては受け入れがたい面はあるかと思いますが、これが今の日本なのだと、考え方を改めていかねばならないのではないでしょうか。

凶悪な犯罪者を、より一層厳しい目で見る社会になると言う事が、犯罪を起こさせない抑止力にもつながるのではないかと考えます。

追記:

先ほど見た番組では、気になっていたツナギ(作業着)の件で、同僚がインタビューで、「(ツナギが無いとして)暴れて、荒らした後、片付けたんですが、(その中に)あったんですよね」と述べていたが、暴れたのも、計画的な自演だったのか? また、当日の携帯サイトの投稿内容にも、一部ウソの記述があった事が確認された模様だ。また、的確に急所を狙って刺していたともしている事から、そのような知識があり、予行演習などもしていた事も考えられる。また、別の報道では、既に4月の時点で、犯人が作ったとされる携帯サイトの掲示板に、「歩行者天国にトラックで突っ込みたい」と言うような投稿があったとの事だ。更に、同僚の元自衛官には、4ヶ月も前から迷彩服や自衛隊用品がどこで買えるか聞いていたらしい。

これらから見えるのは、やはり、派遣先会社との雇用関係のトラブルなどが直接的な原因では無く、それ以前からの計画であった可能性が強まった事だろう。

追記:2008/06/11

この事件はテロと見たほうがいいかも知れないと言う旨の事を書きましたが、それに関しての補足は、今後のマスコミ報道を見据えた上で、考察を掲載する事とします。(目下のところ、一部のマスコミのみが報道している携帯サイト絡みの情報に基づく考えですので、詳しくは保留としていますが、それによると、強い殺意が芽生えたのは5月30日〜31日ではないかと思われます。)

本事件のトリガー(刺激)に、犯人の携帯電話によるネットアクセスがどの程度、どのように関わっているかはまだ不明だが、現在の進化し続けるネットには、犯罪を助長する要素が内在します。

例えば、Web1.0の頃は、ホームページなどのように、”自分の何がし”と言う、個人の責任感を育てるコンテンツ制作が主体でしたが、Web2.0の時代は、他者、或いは共有のコンテンツを利用・創作する事が主体となってきており、責任の所在が不明になり、悪い事への罪悪感が希薄になってきている。多くは、悪口・誹謗・中傷に抵触する軽度のものだが、個人的に危惧するのは、こう言ったコンテンツが犯罪行為に利用された場合である。

Web2.0は、コラボレーション的に何らかの犯罪行為や計画を、複数の人間で匿名状態で利用する事もできるのです。(Web2.0は、性善説が前提で成立しているものです。)

適切な規制を誤れば、今後類似した事件が、明確にテロと言う形で現れて来る可能性があるのはないでしょうか。

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