ABBA Thank You For The Music

2007.11.20

 先日、注文していたCDがようやく届いた。予約商品などまとめて買うので、どうしても届くのが遅くなる。その中に、ABBAの4枚組みトールケースのアルバム"Thank You For The Music"があって、各CDにメンバーのサインが入っていたり、ボツになった幻の曲(?)などが収録されているなどで以前話題になった限定生産のアルバムだ。別にレア物を探していたのでは無く、聴いて無い曲が多く入ってるアルバムを選んだらこれになったと言うところでしょうか。やはり、Disc4は楽しめた。と言うか、ABBA終期の頃の曲はあまり聴いて無かったんだなと理解させられた。"ABBA Undelted"に収められていた、"Just Like That"も初めて聴いたと思ってたら、聴いた事のある曲だった事を思い出した。でも、アレンジは違うので十分に楽しめた。

で、Disc3に入っていた、昔よくレコードで聴いていた、"Eagle"を聴いていて、『あぁ、ウチのオーディオは、まだまだ、レコード並みの音質じゃなかったんだなぁ…』 などと落胆し、とりあえず、もうちょい良いCDプレイヤーをと思い、C-777かCD3300Rのどちらにしようかと情報収集などしていて、ふと、ATH-1000(エージングはほぼ完了しましたが、やはり高音部は耳障りがよろしく無いですね。) と3台のCDプレイヤー(震災で壊れなかったプレイヤーが2台あるんです)で、じっくり確認すると、どうやらCD自体の音質が悪いと言う結論に達しました。

発売年を確認せずに購入したのが馬鹿でした。トールケース背面に"1994 Polar Music Internatinal AB."と刻まれてある。もし、手に取ってから確認する作業が当たり前のレコードショップの店頭だったら、躊躇したかも知れない。リマスター盤が出だしたのが2001年以降で、最高音質とされる、"Complete Studio Recordings"が2005年の発売だから、その辺り以降だったら、多分、リマスター版だろうから、音質面も安心できたんじゃないかと思う。しかし、これは微細な音が欠落しているのみでは無く、デジタルリマスター云々と言うレベル以前の、耳障りなノイズが混じった状態なので、ショックに近いかも知れません。(もしかしたら、十数年以上前の一般家庭用オーディオなら、この程度のノイズは気にならなかったのかも知れませんね。今は、いかにデジタル臭く無い自然な音であるかが重要ですが、当時は、まだ、レコードのプチノイズの無いクリアなCDの音質のほうが評価されていましたから。)

ABBAは、北欧を思わせる美しく澄んだ音楽を奏でるポップグループであり、世界初のCDにアルバム"The Visitors"が収録されたほどでしたので、CDの音に濁りがあったのは残念でしたが、他方で、活動停止後、約25年程度経過した今でも新しいアルバムを出し続けており、先月も、DVD+CD2枚組みの"ABBA The Album Delux Edition"が発売されましたので、逆に、買う楽しみが増えたかなぁと言う面もあり、早速購入を検討中です。これには"Eagle"がシングルバージョンも含めて、2タイプとDVD映像も入ってますので、ようやく、ちゃんとした"鷲"が空高く飛翔するイメージを、久々に描ける事でしょう。(と言うか、実は、この曲は個人的にオーディオの性能がわかり易いので、比較用のCDとして、揃えておきたいというのもあります。)

さて、このEagleは、ABBA The Movieの挿入歌で、その時、国内で同時上映されたのが、レッド・ツェッペリンの映画"狂熱のライブ"。当時は、ツェッペリンのほうが世界的にもファンが多かったと思う。ツェッペリンの芸術性の高い前衛的ロックミュージックとは対象に、大衆迎合型の軟派でアイドル色さえあるポップミュージックのABBAと言う、今にして思えば、明らかに奇妙な異色なとりあわせだった。洋楽であると言う共通項はあるものの、双方の熱狂的なファンにとっては、苦痛だったかも知れない。

同時期のポップグループとしては、カーペンターズがある。よくは覚えて無いが、多分、レコードの売り上げ枚数にしても、カーペンターズのほうが当時は売れていたんじゃないだろうか。しかし、カーペンターズが人気が出たのはベトナム戦争での”米国への癒し”があって故でしょう。また、ツェッペリンに代表されるように、70年代はロック中心の時代で、ABBAの音楽には批判的な意見も少なく無かったと記憶しています。

しかし、あれから四半世紀以上が過ぎ、あれだけの人気を誇っていたロックグループの大多数が姿を消しましたが、まだABBAは残り、実質的に解散状態であるにも関わらず、毎年のように新しいアルバムが出ています。しかも出せば、必ず売れる。その理由には、もちろん美しいメロディーラインやフリーダとアグネタの(例えばザ・ピーナツを彷彿とさせるような)ハーモニーなどの彼らの稀有な才能や技術的な面に、熱狂的なファンの存在もあるとは思いますが、彼らの曲は、『歌は歌えば元気になる』、『音楽を聴けば楽しくなる』、そんな普遍的なテーマに則った音楽だからなんだろうと思います。では、どうしてそれが出来たかといえば、彼らが純粋に音楽が好きだったからなんじゃないでしょうか。

でなけりゃ、"Thank You For The Music"なんて曲は作れないと思うんですよね。

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