早起きは三文の得をあらためて考えてみた。

2007.12.01

 先の見えない混沌の時代だからこそ、怖さや失敗を恐れずリスクを取って突き進む事こそが大事と思う人もいれば、論理や理屈では無く経験に裏打ちされた実証を持って前進する事こそ重要だと思う人もいる。時折、それらは干渉、対峙する事もあるが、現在は前者が勝っている時代なのだろう。アグレッシブは老齢化しつつある日本社会の活性化の為にも、おおいに結構な事だが、日本人的な謙虚さをも失う事はリスクが大きいように思う。

 さて、『早起きは三文の得』 読んで字の如く、”早起きすれば三文の得をする”と言う事だが、これは日本のみのことわざでは無く、英語にも"The early bird catches the worm."(早起き鳥は、虫を食べられる)と言うことわざがあり、日本同様に、”早起きは健康にも良く、快活に勤労でき、良い事がある”などと解釈されているそうです。

三文と言うと、このことわざができた年代等が特定できないので正確な換算は出来ないのですが、現代の通貨では、概ね10円〜100円の間ではないかと推測されます。年間で、3650円〜36500円。もし生涯に渡って早起きを続けるとしたならば、2006年の日本人の平均寿命(約86才 厚生労働省公表の物)を乗じると、約314000円〜314万円に相当します。日本人1人当たりの平均生涯賃金2億円(概算)と比較すれば、微々たるものと思われるかも知れませんが、300万円となれば、30才前後の男性の平均年収に相当しますので、”人よりも1年余分に働いただけ多く貰える”或いは”人よりも1年分少なく働いても稼ぎが同じ”と言う計算ですので、馬鹿にできません。

実際、早く起床する事で、脳と体が十分に活動できる状態を整えられ、1日の仕事のスタートも円滑に行えますので、仕事もスムースにこなせ、所得にも反映されるだろう事は容易く理解できます。1日100円程度の得以上の利益に繋がる可能性は十分あるでしょう。

また、現代社会に置いては、特に高齢者の生活における医療費負担などの比重が大きく、健康でいる事が、金銭面からもどれだけ得であるかは、ご存知の通りです。もちろん、健康でいられれば長生きもできます。その為、健康法として早起きがあるならば、若い頃から実践すべきです。

以上のように考えると、多くて生涯300万円程度では無く、人によっては1000万円以上の差が軽く出てきそうな気配です。

しかし、スラッシュドットの興味深いこちらの記事によると、”心筋梗塞のアメリカ人男性患者949人を対象にした疫学調査では、「早寝早起き(23:00前就寝、6:30前起床)」「早寝遅起き」「遅寝早起き」「遅寝遅起き」のそれぞれのグループ間で、死亡率(健康)、年収(富)、修学年数(賢さ)に差が見られない”と言う、”早起きは3文の得”とは言いがたい結果が得られたそうだ。但し、記事中では、健常者や日本人の事では同様の事が言えるかどうかは不明として言及されている。

この記事を読むと、早起きは三文の得では無いかのような錯覚を起こしてしまいそうだが。果たしてそうだろうか。

重要な箇所だと思うが、割愛して言うならば、例えば、世の中には”夜遅くまで、寝る間も惜しみ一生懸命に働く人や勉強する人”も多くいると思うが、それらは平均的な者よりも所得も多いだろうし、成績も優秀ではないだろうか。また、仕事などの都合で、”無理して早起きせねばならない状態を続ける人”の中には、健康状態も悪くなる人も出て来るかも知れない。

もし、これで懐疑的になった人がいるならば、『早起きは三文の得』を、別の言い方で見ると、答えがわかるののではないだろうか。即ち、『早寝早起きで健康的な生活を送る』為の心がけのことわざであると解釈すれば、道理なのだ。人が前向きに人生を送るための知恵の1つだとでも思えばいいのではないだろうか。日々、ルーズな生活をおくるよりも、生活のリズムを整え、自分を上手にコントロールできれば、ストレスも無く健康的で楽しい日々をおくれる状態を長く続けられる。また、結果として、成績や所得などにも反映されるだろう。その為の心がけのことわざと思えば、道理なのだ。

もちろん、”僅か三文にしかならないので早起きなんてどうでもいい事”と言う解釈も昔からあるようだけれども、記述のように、塵も積もればなんとやらで、僅か三文でも、日々大切に、コツコツと生きて行く事が大事であると言う事も、現わしているように、私は思う。

たったこれだけのありふれた諺だけれども、考えさせられる事は意外に多い。

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