特撮映画 松本人志の大日本人に思う…
歯(と頬)の腫れは、お薬が効いているようで、かなり解消されてきたけれども、今度は別の歯の虫歯が疼きだした。分散して咀嚼(そしゃく)出来ない為に、負担を与えていた事が虫歯に繋がったように思う。
さて、週末と言う事もあり、久々に少しだけ長文を書いてみようかと思う。
先日、仮面ライダー電Oの主人公 野上良太郎役の佐藤健さんに関するサイトをだらだらと眺めていて、ふと気になったので、今年2月に出演した、しにがみのバラッド 第7回と第8回の動画を某所で見た。多分、これが本人に一番近いキャラクターなんでしょう。ホスト的な雰囲気のある現代のアイドル風キャラですので、個人的には、あまり好きでは無いのですが、それ故に女性ファンが異様に多いんですね。もっとも、若いなりにも役者として頑張ってる姿には好感が持てます。
その電Oの人気がイマイチな感じがする。もちろん、特に若い世代には(相変わらず)オモシロイと人気は高いようですが、特撮の聖地の代表格として、台東区を見ても今年は、AZURAな鯛な特撮ヒーローか蜘蛛男3が主流の傾向が強く、相対的に落ち込んでしまっている面も否めないでしょうが、電Oの視聴率も、18話、19話と6%台に下降し、前回の兜との差が開いてきている模様だ。もっとも、桃太郎、浦島太郎、金太郎は、馴染み深い御伽噺だったけれども、竜の子太郎は馴染みが薄く、2号ライダーが日本御伽噺系では無かった事で、特にちっちゃなお子様のいるご家庭などでは、盛り上がりに欠け、(裏番組のアニメなどに)チャンネルを変えたのではないかと言う推察もできると思う。我が家でも、メビウスに熱狂的だった奥様が、番組終了以降、見る特撮番組が無い事で、一時は大阪弁で演歌な金太郎の電Oにも興味を持っていたのだけれども、今はドラゴンボールの再放送を録画して見る毎日になっています。
電Oに限った事では無いのですが、前にも書いたように、筋が読める番組、或いは筋を読みたいと思わせない、裏切りの無い番組になっている事で、私は個人的に面白みに欠けると感じています。例えて言うなら、これは怪獣ショーのようなものです。なので、お祭り的にワイワイ楽しむ事はできます。最初から(ほぼ完全に)壊している仮面ライダーですから、どんな展開になっても、それは仮面ライダーでは無いので、どうであっても許容できます。許容できると言う事は気にならない、どうでもいい、歌詞同様に、「イージャン」って事です。そのノリで、おき楽に見れればイージャンって事だと思ってます。
この電Oを、今の日本の特撮の流れの代表作品とするならば、いゃ待てよ、特撮ってそんなもんだったのかな? と言う訳でも無いのかも知れませんが、結果的に、特撮の原点回帰の側面を持っているのではないかと言う、話題作がある。何かと言えば、松本人志氏の大日本人だ。
劇場公開から3週目に入った今も、高い興行成績を維持している模様だが、相変わらず賛否両論が渦巻いているようで、「駄作」「もはや映画では無い」「まれに見るヘンな映画」などとも叩かれている。私自身はまだ見ていないし、DVDになるまで見る予定も無い(映画館に行く暇も無い)のだけれども、概ね、この映画は、『映画の枠を壊しているマニアックなお笑い映画』 であると紹介しても、既にご覧になった方からも異論は無いでしょう。イロイロな意味で、”ありえない事をやってのける”には、特撮が一番都合が良かったのではないでしょうか。予想させておき、その期待を裏切り、意表を突き、驚かす。場合によっては不安や怒りを買う事もある。もちろん、全く興味の無い者は馬鹿馬鹿しくてツマラナイだけ。妖怪・怪談物と同じですよね。要は特撮。
もちろん、今の特撮の流れが、Project Ultraman しかりで、(仮面ライダーにしても)正統派の本流が(特に著作権が緩い事などで盛り上がり易い)アジアに取られつつありますので、国内では、(逆に、更に一層著作権が厳しくなり、UG的色彩が強くなる事で)マニアックで、お笑いやお色気の要素が顕著になってくる事によって、エポックメイキング的な作品になる可能性と言えば大げさですが、ゴジラ同様に、劇場で見るまでそれが何なのか全くわからない、得体の知れない特撮映画の本流として、一石を投じた作品として見る事ができるかも知れません。大阪商人であるならば、大日本人が興行収入で成功を収めれば、2匹目のドジョウは狙うでしょうし、今回がウルトラマンのパロディーならば、仮面ライダーや、或いは鉄人やガンダムなどのロボット物のパロディーがあってもいいと思うし、大日本人がいるならば、大東京人vs大大阪人 なんてのもできちゃうでしょうから、ゴジラシリーズ同様に幅は広がるんじゃないでしょうか。(大日本人vs小中国人なんてやったら、怒るのかなぁ… あちらも若い世代ならば、そろそろ、この程度のジョークならわかってくれそうな気もしないではないですが(^^;))
近年でも特番が組まれるほどに米国で今も評価の高いゴジラ作品や、ジブリアニメは別としても、そもそも、日本の特撮映画が世界市場を意識して無いのであるならば、日本人だけがわかる、日本人だからこそ楽しめるマニアックな映画に徹底すべしではないでしょうか。それが結果的に、世界市場でウケル(可能性がある)筈です。初期のゴジラなんて、(シリアスな日本文化とパロディーな米国文化の違いから、日米では、初期の頃は全く違うウケ方をしたものの)まさしくそうじゃないですか。わずかここ10年ほどで、”マンガ”や”オタク”が世界でも通用するほどとなった、ジャパニメーションも(結局は、米国ではエロ扱いかよってのもありますが、まぁ、そう言う輩はヤンキーどもと、笑い飛ばせないと駄目なんでしょうね)そうですよね。
さて、特撮らしく、いかにも空想(科学)的なオハナシになってきていますが(笑) ありきたりな話。特撮物ならば、夢だとか希望だとか、勇気だとかを見る者に与える義務が、あたかも必然的にあると、果たして初代ゴジラを前フリ無しで見た人はそのような思いを強く抱いたのか、どうなのか。私は、あれは、映画館と言う名のお化け屋敷にマッチした最高傑作な見世物だったと言う事だと思うのです。
大日本人は、確かにパロディーや風刺的要素は多分にあるでしょうが、他方で、既成の枠を壊してナンボのモノと言う、そもそもの特撮映画、そのものなのではないかなと思う次第です。(もちろん、松本人志、そのものが特撮的な奇怪な性質と、破天荒な作品が許容される芸人故に、公開しえた稀有な作品であるとも思いますが)
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