既存メディアを模倣した、ネットのマスコミ化が進んでいるようですが…

2007.03.12

 しかし、昨今は、安心してみていけるサイトと言うのが減ってきてる。”子供でも安全なサイト”では無く、”読み易いけど、考えながら見ていかないといけないサイト”で、難解な専門用語も少なく、適切な長さのわかり易い日本語で構成されているので、雑誌のように読み易いけれども、ちょっと考えれば 『いや、違うんじゃないの?』 ってサイト。特に一部のブログ。なんで、こんなにも世間の認識と(微妙な)”ズレ”があるのかと思いきや、どうやらネタ元が海外で、原文を日本語訳した程度の物が結構混ざってるような印象。そりゃ、日本人の感覚と違うわな。

或いは、商品宣伝に特化した記事でも、記事なのか広告なのか、雑誌のように(実は掲載記事全てが広告であるように)一体化していて、わかり辛いサイト。もちろん、広告掲載が悪いかのような(もはや時代錯誤的な)トンチンカンな事では無く、商品説明やら推薦の内容を、ちゃんと読んだらデタラメな記事ばかりだけれども、落ち着いたワンフレーズのわかり易い日本語の羅列によって、迂闊に騙されてしまう人もいるんだろうなと思う。(某大臣の「適切に処理をしている」みたいな答弁の繰り返しなどもそうでしょうね。) 騙されるかのほうが悪いかのような意見もあるかとは思うが、アクセスする中には、思考能力が低下している高齢者などの弱者もいる事も、或る程度は考慮すべきだろう。(もっとも、トンチンカンな記事は、ニュース系サイトのコラムにも多々見られるようになっちゃいましたが…)

 ただ、本当は、不安心理をかきたてるかのような”策略”に、まんまと乗ったかのような事は書きたくは無い。特に日本のような保守的な国民意識と、(非民主主義としての)社会資本重視の体質から、何か事があれば、大手が得をする傾向はウェブも同じだ。コツコツと真面目に頑張ってる中小零細企業が犠牲になるのは、ウェブも同じになってしまった。パソコンやネットは特に危険なモノであってくれたほうが都合が良いのは、マスメディアだけでは無い状態がまだまだ続きそうだ。(何度も書いてますが、特に未成年者の犯罪被害は、携帯電話利用による物が96〜97%ですので…)

では、大手へ利益をもたらさないのなら良いかのような事でも無い。特に、昨今のWebの動画共有サイトでの(著作権法上問題のあるコンテンツへの)アクセス増加で、果たしてどのような影響が出るのか。DVDが売れず、番組の視聴率が下がれば、番組そのものの存続が危ぶまれ、優れた作品が輩出される機会が減って行く可能性がある。(もちろん、本来的なオリジナル作品の公開の場としての役割を担える事で、より多くの優れたクリエイターの登場に期待が出来る筈なのだけれども、ここ数年の経過を見ていても、それとは全く逆な方向でしか発展を遂げていないように思われる。もちろん、あまりにも著作権が煩い事と、真面目過ぎる運営者の(ファン)サイトの閉鎖などによって、反動的に、逆にこう言った傾向が爆発的に出てきてしまったと言う、日本の事情もあると推測するのだけれども…)

因みに、動画共有サイトは、既に複数のサイトが多用されるようになってきているが、代表格のYouTubeのみを見れば、2007年3月現在のAlexa統計参照では、YahooJapanの約3倍、GoogleJapanの約8倍と言う、凄まじいトラフィック数である事がわかる。これでは、ウェブや企業への影響だけでは無く、DVDレコーダーなどの映像録画機器の売り上げなどが急激に低下しているのもうなずけるだろう。(しかし、出荷台数関連の統計を見ても、パソコンは売れて無い。Vistaも実質的にはあまり貢献していない。携帯でもYouTubeが見れるようになったそうだけれども、全体からすれば極めて僅かだろう。) もちろん、著作権問題は別としても、健全性の高さ故に、UG系やアダルトなど、反社会的な映像の露出(一種のテロリズム)が大きく抑制されているのは、歓迎すべきだけれども、様々な国の様々な運営者がいる動画共有サイトが多用され続ければ、過去のアダルトの例しかりで、どこで”化ける”(或いは本性を現す)かわかったもんでも無い。基本的には、これらは視聴者である、ユーザーの責任では無く、Webにおける動画コンテンツの重要性が顕著になっているのだから、著作権・コンテンツ所有サイト自らかが健全なプロモーション動画を配信すべき事であり、それを怠っている(ウェブにおけるプロモーションを軽視している)故に起きてきた現象なのだろうとは思うのだけれども。

こう言った状況を見ていると、既存マスコミ vs インターネット 的な背景が見えて仕方無い。棲み分けで無く、競合と言う状況故に、ネットが既存のマスコミ化しつつある現象だ。(故に、既存メディアには無い、ユーザー発のネットの独自コンテンツを主体とした、独自文化も衰退し続ける事になりますが…) もっとも、熾烈な競合へと突き進んでいるのは、既得権重視のマスコミによって、ネットを積極的に利用するのでは無く、排他的に扱った事が山積した結果が、大きく影響しているのではないだろうか。 最近では、例のあ○あ○にしても、番組制作の背景に、孫請けを酷使する事で既得権者が利益を得ていた関係が影響していた事も、類似性を見出せるかも知れない。或る意味、ネットが抱える諸々の問題の縮図のようにも、私には思える。

 確かに、マスコミ的なコンテンツが増える事は、居心地が良くて楽であるのは間違い無いとは思うのだが、それは現代の既存マスコミの悪い面も引き継ぐ事に他ならず、ネット故にできた本来の良い面を喪失して行くと言う事に もつながる。ネットの良識故の事実の伝達や多面的な考察を阻害する、事実を検証せずに行われるマスコミ報道の反復と、2者択一的な安易な批判と肯定などもそうだろう。 やや怖いものも感じてしまう。

そんな私は、容易に検索できなくなった、ネット黎明期の見識者のサイトを、webarchiveなどで閲覧する事が最近増えたような気がする。書籍に関しても、昭和中期以前の物を最近は好んで探すようにしている。特に、魂のこもった筆で、命の宿った文章で綴られた書物に出会う事を望んでいる。 年月を経ても尚、値打ちの下がらない本物の情報との出会いだ。今のインターネットでは、そう言う物に出会える機会が非常に少なくなったのが残念だ。

無料サイト集 Kooss (run)記

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