気になる中国の地震報道。(4)

2008.05.16
 中国地震の話題が続きますが、もう少しだけ続けようと思います。
 今もなお大雑把ではありますが、概ね、今回の大地震の大勢について理解しましたので、今の段階で、思うがままに主観的な感想を述べてみたいと思います。

 生存者発見の感動的シーンの、何百倍もの数の死の悲しみがあるのだろう。報道では流される事は殆ど無いであろう、ビニールを掛けられただけの路上に並べられた多数の遺体と、蝋燭を灯しただけの葬儀の写真が、個人的には最も印象深い。果たして、全員が身元確認や遺族との対面の後に火葬にされたのだろうか。

 国内のワイドショー系番組などでは瓦礫の下で生き埋めとなっている人が何万人もいるので早く助けるべきなどと言ってるものもあるが、日本家屋のような木造建築では無い、人体に落下すれば致命傷にもなり重く、崩れ落ちて崩壊する、危険な煉瓦造りの建築物が多数である事からしても、阪神大震災の時以上に即死・圧死している者がかなりの数になるように思う。

 中国人が死者を弔うと言う感覚がどのような物なのかは知らないが、日本人の感覚としては、例えその瓦礫の山の下には死人しかいない状況だとしても、丁寧な崩壊建築物の撤去作業を当たって欲しいと思うのだが、現場はそうは行かないようだ。助けの声が聞こえなくなった瓦礫の山には既に重機による撤去作業が開始されている模様だ。もっとも、近隣の路上でテント暮らしをする被災住民に伝染病なども起きており、死者(遺体)よりも、生きながらえた者の安全を重視せねばならないと言う事なのだろう。残念ながらもっともな話だ。もはや、中国人の死生観や宗教観などが救いになる事を期待したほうがいいのだろうか。(被災地はチベット人も多い事から、中国政府はダライ・ラマへの協力も呼びかけるべきかも知れない。)

 総じて思うのは、日本の大災害とは比較にならないような、今回の大地震などのダイナミックな自然の猛威が、中国人の歴史的な国民性の基礎を築いてきたのだろうから、日本人的な甘い人権の捉え方では、過酷な状況を生き延びれない弱者を増やすだけで、結局は不幸な者を増やすだけになるのかも知れない。
  ただ、意外に思ったのは、震源地の汶川地震発生直後の動画を見る限りは、阪神大震災の破壊的な縦揺れよりも激しい揺れと言う風には見えなかった点だ。もちろん、阪神大震災発生直後の記録動画も、コンビニの動画程度しか無く、これも阪神大震災の実情を伝えるには適切であるとは言い難いと思われる。
2007年の阪神大震災関連番組と震災関連の動画の、最後にも掲載し、コメントしているように、”録画出来た”と言う事は”機器が破壊されるほどの影響を受けた場所では無かった”と言う事だ。もっとも、汶川で撮影された映像も、同様な事が言える可能性があり、戦争で空爆されたかのような、ペチャンコになった無数の建築物や住居を見る限り、やはり相当な破壊力を持った地震のエネルギーがあった事は間違い無いのだろう。

 四川大地震寄付金の募金も各地で盛んになってきている。当方も、被災者支援に回る見込みが今も薄いミャンマーへの募金を諦め、中国の四川大地震への募金に回そうかと検討している(赤十字を検討中)。もっとも、被災者1000万人の、正に未曾有の大災害なのである。(たとえ、被災者一人辺り日本円で1万円の義捐金相当の物資の支給があったとしても、1000億円が必要になる計算だ。そして、仮にこれほどの巨額な募金がされたとしても、”気持ち”程度にしかならないのだ。また、救済を本当に必要としている人へ支援の手が届かない可能性もあるだろうし、一部の利己的な者の私腹を肥やす可能性もあるだろう。阪神大震災の時ですら起きたのだから、汚職の横行する中国ならどれだけの事が起きるだろうか。しかし、その気持ちを僅かな人数だけでも理解されれば、それで十分なのだろうと思う。少なくとも、地震後の関連死による死者は減る筈だ。)

いずれにせよ、アジアの最も大きな”食料生産基地”の1つが大打撃を蒙り、莫大な量の支援とパニック状態による買占めが起き、アジアの食料品の輸出大国が輸入大国に転ずる可能性があるのだから、私達の食卓への影響も少なくは無いだろう。インフレ等の不満はあるものの比較的裕福な日本では、まだ物が買えない事は無いが、発展途上国ほどでは無いだろうが、今後は或る程度の食料難も覚悟せねばならないのかも知れない。(物価の優等生である、未だに100円程度で買えるサバ缶辺りの買い置きを、我が家は増やしておこうと思う。因みに昨日の夜食もサバ缶だった。) 嫌でも”痛み分け”を必然的に貰う事になるだろう。

地震大国の日本なればこそ、他山の石などとは思わず、明日は我が身と思うべし。

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