ゴジラ(レジェンダリー版GODZILLA2014)見てきました。

2014.08.01

先日、運良く時間が少し出来たので、7月25日の公開初日のレイトショーに、ゴジラ(レジェンダリー版GODZILLA2014)を見て来ました。
既に報道でご存じのように、モスラ,ラドン,キングギドラも登場する続編(三大怪獣 地球最大の決戦のレジェンダリー版?)の制作も確定しているので、少しでも気になる方は今回のゴジラを見ておいたほうが良いと思います。

ゴジラは子供の頃からずっと見てます。

私がゴジラ映画を最初に見たのは、ゴジラの息子(1967年)で、三大怪獣 地球最大の決戦や怪獣大戦争,ゴジラ・エビラ・モスラ 南海の大決闘 などは、後になってテレビで見ました。
成人無料の株主パスを(ウチにはそんな物は無いので)借りて連れて行ってくれるので、東宝,東映,大映の映画は見放題だった(なので、何一つ文句を言わないおとなしい子供に徹していたように思う)のだけれども、ある時、ジャングル大帝(多分1966年作品)を見にいったら、入れ替え前にたまたまマタンゴ辺りの再上映をしていて、これは流石に子供が暗闇の大スクリーンでは普通に見れない恐怖映画で、(ジャングル大帝レオと思ってたのに、何これ?と全く警戒もせずにじーっと見ていたら、マタンゴが集団でワーッとやってきて女優が大声でキャーとか言う場面だったと思う) びっくりして泣きだした事で、(これは、この子には怪獣映画は駄目なんだなと言う事で、多分)スクリーンで見た怪獣映画のゴジラシリーズは、ゴジラの息子が最初になったんじゃないかなと思う。

当時は、帰ってきたウルトラマン以降は、ウルトラシリーズもテレビの特撮のレベルが落ちて子供騙し的でつまらない物になってきてたので、ストーリーは別としても、特撮クオリティを或る程度維持していた劇場版怪獣映画の楽しみが相対的に増していた事で、ガメラやゴジラ映画を見続けていたんだと思う。シリーズで最後に劇場で見たのはメカゴジラの逆襲(1975年)で、特に、ゴジラがメカゴジラの頭部をもぎ取り勝利したかと思えば、実は頭部は単なる飾りに過ぎず、より一層強力なレーザーを発すると言うのは、絵的にもストーリー的にも凄いなと感心したのを覚えている。後に、アムロがガンダムの首をジオングに飛ばされて「たかがメインカメラをやられただけだ」と言うシーンがあるけれども、メカゴジラのパクリかな?と思ったのは多分私だけでは無いと思う。

最初のゴジラ(1954年)を見たのは、随分後(あと)に行われた再上映で、河内桃子さんがとても美しくキングコングのオマージュが色濃く出てるなと感じ、平田昭彦さんがとてもカッコイイと思ったのを覚えている。そしてゴジラは、とても悲しい、明らかに反戦映画だった。特撮怪獣物の中で、ゴジラ映画だけは別格に思えたのは、この1954年の最初のゴジラに映画作品としての感銘を受けた故だと思う。

映画以外にも、(ウチは金持ちでは無かったのでカラーテレビも遅いほうだった位だけれども)お下がりではあるけれども、電池で動くマルサンのプラモデルのバラゴン(今は200万円位で買い手がいるらしい)だとか、全詳細データ付きのレアな全ウルトラ怪獣百科事典だとか、結構な数があって、当時の学校の友人の殆どが知らないような情報も知っていて恵まれていたように思う。

しかしながら、私は特撮ファンではあるが、特撮オタクになった事は、多分1度も無く、ゴジラに対してもそんなに深い拘り的な物は無い。ただ、何作目かは忘れたけれども、劇中の(多分)PCに描かれたワイヤーフレームのゴジラがあまりにもお粗末だったので、主要部分をアセンブラで記述した高速レイトレーシングソフトを自作して、(当時の水準での)ゴジラの3DCGのアニメーションを作成しようとした事があるが、(致命的に)絵が描けないと言う事もありデータ入力手前で果てました(笑)(因みに、その自作ソフトは賞などを頂きました。感謝感謝。でも、今思えば、無理にでもやってれば、(多分)日本初の3DCGで動くゴジラとして残ってたかも知れませんね…)

ゴジラ(GODZILLA2014)のストーリー

さて、今回のゴジラ(GODZILLA2014)、ネタバレ的な事も含めて書かないときちんと書けないので、ネタバレを含みますが、まずこの映画、どんな概要のストーリーと言うと。

A:米国軍人(アーロン・テイラー=ジョンソン)が、幼少の頃には母を、そしてその母の死の真実を追い求めながら悲しみの淵から這い上がれない父、二人を共に怪獣MUTO(ムートー)に殺され、その敵(かたき)を撃つ為に立ちあがり、最後は、妻や息子の命、そして全地球の生命を危機から救った。

B:2億年以上前にゴジラをエサとしていた因縁の怪獣MUTOが日本で目覚め、地中深く生息していたゴジラが気付き、既に産卵すらもしていた2匹のオスとメスのMUTOと米国で対決し、勝利する。

多少記憶は曖昧ですが、概ね、以上2つの話が柱になってるんじゃないかなと思う。
Aは米国でのヒットに欠かせない家族や祖国を守ると言うヒューマン&ヒーロードラマ的な面。Bは日本のゴジラファンやゴジラ映画へのリスペクトや配慮的な面。この2つを1つの話しにまとめあげる事で、全世界で大ヒットするゴジラ作品を目指したんだと思う。

個人的には、芹沢博士(渡辺謙)がMUTOを殺さなかったのは(核廃棄物処理などでの)平和利用での研究目的や、実は対ゴジラ用生物兵器的な狙いもあったのかな?と言う気もしますが、その辺り掘り下げて描写すると(日本人が)マッドサイエンティスト的になっちゃうので駄目だったんでしょうか。

しかし、このゴジラはゴジラでは無い。

過去、最も巨大で圧倒的な力で、きちんとゴジラの鳴き声をして、放射能光線も出すし背びれも光る、これはどう見ても間違いなくゴジラなんだけども、ゴジラがゴジラたる理由が180度違うと思わせる場面がある。

日本のゴジラが比較的おとなしいとされる恐竜(ゴジラザウルス)が水爆実験の影響で、口から放射能を吐く怪獣王(破壊王)ゴジラになったとされるのとは対照的に、あの米国とロシアが行った水爆実験は、実は強大な人類の敵ゴジラに対する攻撃であって、人類を守る為に水爆攻撃をしていたとされる点。

日本の(東宝の)ゴジラが水爆実験の悲劇の申し子で、核兵器による軍拡への警告を発する反核の象徴的なモンスターであったのに、今回のゴジラでは、逆にあの水爆実験はやむを得ない仕方なかった事と是認するかのような設定になっている。
比較的最初に近い場面で現れるこの説明の1点だけで、これは東宝ゴジラでは無い全く別物のゴジラなんだと強く感じた。

ゴジラ・・・? あれ?ゴジラ?

あと、ゴジラのCGに関して言うと、ゴジラの造形がデブなのは別にいいんだけど、一定していないように見えるのや、体の動きがやや軟体動物的に”なよっ”としている風に見えるのが、個人的には不満だった。(東宝の)ゴジラは腰がガッチリで滅多に倒れないと言うイメージが強いけれども、腰がとても弱く倒れやすい印象を受けた。

また、顔や体の形がシーン毎に違って見える。クジラとゴリラの合体名を配慮してか(?)、正面からは鼻の形などゴリラ風に見えたり、サイドからは上陸場面などはクジラ風に見えたりもした。なだらかに軽く波打つかのような皮膚の動きなどを見ると、体がゴツゴツで固そうな印象を受けず、ブヨブヨなの? みたいな強そうな感じはしない。

また、ゴジラがハワイの島に上陸するシーンでは海から現れただけで大津波ができてしまうほどの凄まじい神的な”力”を感じるのに、MUTOと闘うシーンではそんなにも絶大的な力があるような印象を受けない場面がちょくちょくあった。特に、ニュースの報道番組で2体が戦ってる映像が流れて、ゴジラがヘニャと腰砕けぽかったりと、怪獣のビデオゲームを見てるようで「あれ?」みたいな印象を受けた。

暗くてよくわからない,見えにくくすると言うのは仕方ないとしても、続編ではゴジラ本体のCGは整合性と足腰の力強さを重視してきっちりやって欲しい。

しかしながら過去最高のゴジラ映画

映画を見る前から、大体のストーリーやら、(公式予告編以外のMUTOを撃退する場面など)見どころのスポット映像などをネットで見ていた(あまり積極的に見るつもりは無いけれども徘徊してれば目に入る)事もあった事で、個人的には感動がやや薄かった面や、ツッコミ入れたくなるほどヘンな場面はキリが無いし、ゴジラ音楽はもっと伊福部昭的じゃないと盛り上がらないよねとか、宝田明さんは日本でもカットされたままじゃ勿体ないだろう(興行収入にも影響する筈)と言うのもありますが、結果、出来あがった作品は、日本の今の映画の技術力を総結集しても、到底真似できない、高いレベルの3DCGを生かした、過去最高の出来栄えのゴジラである事は間違いないのだろう。(逆に、これだけの3DCG技術を持てば、日本も東宝ゴジラを世界に発信できると言う訳ですね。もし故・円谷英二が現役で生きていたならば、ミニチュアや着ぐるみの特撮を捨てて率先して3DCGをやってるんじゃないでしょうか。)

細かい不満は残るだろうけれども、放射能光線発射前にきちんと青白く光る背びれや、最後にMUTOを撃破する圧倒的な強さの放射能光線と、闘いで共倒れになり死んだかのように見えてたのは単に疲れて眠ってて、目覚めて海へと悠然と帰還するシーン、ゴジラファンならばこれらの映像が見れるだけで十分に元が取れる作品になってるように思う。(できれば、個人的には、死んだ風に見えたゴジラに対し、恐怖と感謝の複雑な人間の心境を投影して欲しかったけれども。)
特にゴジラファンでは無いごく一般的な人も、この映画を見て、過去最高に巨大で爆音で吠えるゴジラに驚き、ゴジラの得体の知れなさを心に焼き付ける事ができれば、それで十分成功していると言える作品なのではないだろうか。

ゴジラは夏休み中上映されますが、この映画は特に小さな子供が見る事を前提にしていない、大人の為の娯楽作品です。
しかし、もし本人が受け入れる事ができるならば、これ位のクオリティの物を子供の頃に見せてあげておく事は、決して悪い事では無いでしょう。
子供を子供扱いして作られたような子供騙し的な作品では、その場限りの刹那的な楽しさだけで、将来に渡って根付くような何かのきっかけを与える物にはならないように思うのです。
このゴジラも、そんな強い影響力を持った作品の1つになるように思います。

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