ある日どこかで 大阪,神戸の映画館は西宮OSで6月上映

2010.05.11

ある日どこかで(Somewhere in Time) イメージ 洋画ベスト3を上げろと言われれば、私はこの作品、「ある日どこかで」(原題:Somewhere in Time)を入れる事は間違い無いだろう。間違いなく、心砕く名作の1つです。

ただ、残念な事にスクリーンでは見た事は無かったのですが、今年2010年、午前10時の映画祭の「何度見ても凄い50本」の中に選ばれ、日本全国の劇場で見れる事になった。

これは一般人による、映画館でもう一度見たい作品のリクエスト投票によって決まったもので、選出された作品には「ローマの休日」,「太陽がいっぱい」,「ゴットファーザー」,「エデンの東」,「ニュー・シネマ・パラダイス」などの名作のタイトルが並ぶ。その中に「ある日どこかで」も選ばれた。
選出時の投票順位では上位グループでは無かった模様だが、同午前10時の映画祭の掲示板”みんなのこえ”の投稿数では、現在2位以下の倍以上の感想を占め、圧倒的な人気の高さが伺える。

 ご存知の方も多いと思うが、この「ある日どこかで」は劇場で見た人は世界的にもかなり少なく、ハリウッドの支援も少なく、興行成績も悪かった作品で、日本では、たまたま深夜の映画番組で放送された事で人気が高くなり、DVDにしても米国のファンが映画会社に圧力をかけた事でようやく発売されたそうです。しかし、(DVDでは)画質、音質ともに作品のクオリティを殺してしまっており非常に残念な思いをされた方も少なくは無いと思います。

作品の内容は、当時の美青年のシンボル的存在のスーパーマン役で有名なクリストファー・リーヴ、ボンドガール役も果たした美女、ジェーン・シーモアが、20世紀初頭、1912年の美しきアメリカを代表するかのようなグランドホテルを舞台にして繰り広げる、真の純愛物語なのだが、DVDの映像の品質が悪くては、ファンにとっては映画の結末のような(作品との)”再会”は果たせなくなってしまう。ネット上の感想欄では、デジタルリマスター版などを望む声も前から目にしている。

しかし今回は、ニュープリントで上映される模様なので、期待をしているファンも多いのでしょう。
上映館は、関西(神戸〜大阪)だと、
・上映館:TOHOシネマズ なんば 上映期間:2010/06/05(土)〜2010/06/11(金)
・上映館:TOHOシネマズ 西宮OS 上映期間:2010/06/19(土)〜2010/06/25(金)
になります。”午前10時の映画祭”ですので、午前10時からの毎日1回上映です。

余談だが、Googleで、”ある日”と入力すれば、候補として最初にあがるのが”ある日どこかで”であり、原題の ”Somewhre in Time” に近い訳の ”いつかどこかで” で検索すると、小田和正氏の同名の作品(いつかどこかで)では無く、”ある日どこかで”にキーワード修正された検索結果になる。これは、本作がいかにWeb上で話題になってきたかを伺える要素の1つと言えるだろう。

もちろん、1980年の作品でありながら、今も公式サイトが存在する稀有な作品である点も特筆すべきだろう。(そんな映画は、殆ど記憶に無い。)

さて、この作品の、”本当に何度見ても凄い所”の所以ですが、年を重ねた後で映画の感想が異なるのは往々にしてある事ですが、この作品は、心を最も強く打つ、見るべき所が、見る度に大きく変わるのが、凄い点の1つと言えるでしょう。

主人公は、ありえない自力タイムトラベラルと言う難関を乗り越え60年前の過去に会いに行くも、数々の困難がある中、映画史上に残るほどの美しい接吻を果たすのですが、二人の愛を引き裂く妨害によって、主演のクリストファー・リーヴが駄目かと諦めかけた時、今度はジェーン・シーモアが全てを捨てて、再会し抱き合い、愛し合う… と言った、時空を越えた運命的な純愛辺りが、最初の頃は惹かれるように思います。

そして、ラストの場面では、タイムトラベルから連れ戻され、食べる事を拒絶し廃人同様になって、主演のクリストファー・リーヴが死に、天国でジェーン・シーモアとの再会を果たします。二人が愛し合う場面に最も心惹かれた人ならこの展開は理不尽で嫌だと思うかも知れません。

しかし、これは、愛に生きる青年が、向こうで待つ愛する人の思いを叶える為に、純粋に選択した道である事が、ゾンビのようになっていた蒼白の死相が、徐々に笑顔になって行く事で伺えます。ここで本作のタイムトラベル的な”人生のトラベル”を再び、主演のクリストファー・リーヴが行った事で、二人が再会できたと解釈すると、このラストが最大の見所になります。

再会できずにこのまま生きるのならば、死を越えてまで再び会いに行く男性の純愛を描いた場面です。

ラストの場面をそのように解釈して見れるようになると、今度は映画冒頭でジェーン・シーモアが、60年後に老婆になって突然現れ、「Come Back to me」と一言だけ言い残し、懐中時計をクリストファー・リーヴに手渡し去り、思い出のグランドホテルで息をひきとるシーンが、最も鮮烈な印象になります。

60年間も、たった一人の男性を思い続け、捜し求め、漸く見つけ出したにも関わらず、相手は若い女性達にモテモテで取り巻きも大勢、自分の事などサッパリわからない、勇気を出し気力を振り絞って少しづつ前へと進み、蚊の泣くような声で 「Come Back to me」 と囁くのが関の山。
ホテルへ向かう薄暗い車の中で見える頬を伝わる涙は、ボロボロに泣いていた様子が伺えます。そして、誰も家族のいない彼女は、クリストファー・リーヴの処女作の台本を、彼の代わりに胸に抱きしめ一人で亡くなり、自分の元へ来てくれる事を信じ、あちら(天国)で、更に9年間待ち続けるのです。

観客からすれば、最初の「この婆さんは何だろう?」と言う程度の脇役的な存在だったのが、この皺だらけの老婆を、クリストファー・リーヴを脇役に従えた、主役のヒロインにまで昇華させてしまう作品なのです。

以上、これは数ある個人的な感想の1つしか過ぎませんが、「ある日どこかで」は、60年前の女性に恋焦がれタイムトラベルまでしてしまう、純真に愛に生きる若い男性目線で描かれた作品かと思っていたものが、実は60年間もただ一人の男性の事を思い続け、たった一言だけ思いを告げて死ぬ、純真に愛に生きる女性目線で描かれている作品である事に、素直に気づかされる、そんなところが、凄い超純愛作品なのではないかと思います。

これでもかと言うほどのプロモーション展開で、何でもアリな面白いヒット映画ってのは、今は幾つもありますね。

しかし、10年、20年経って聞いても、懐かしむでは無く楽しめる音楽と言うのは限られていて、実は当時はさほどヒットしていた物でも無いと言う事があります。映画にしても、同じなんですよね。

この作品をまだ見た事の無い人は、映画館に行けばわかると思います。

最後に、劇中頻繁に演奏される、ラフマニノフのパガニーニの主題による狂詩曲 Op.43 第18変奏 の動画をYouTubeから掲載しておきます。

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