赤ちゃんポストをあらためて考えてみる。

2007.12.12

 今年世間を騒がせたニュースの1つに、奈良県で起きた、搬送拒否をされ続け、たらい回しにされた妊婦の死亡事故があったと思う。国も医療機関の不備を重く受け止め、先日、厚生労働省による、たらい回しを防ぐ、産婦人科病院の救急搬送の調整役を担う専門コーディネーターの配置が、全国に通知された模様です。コーディネーターは、NHKなどの報道関連の番組で見てご存知の方も多いと思いますが、番組を見た限りでは効果は高いと思われました。

これは、現状の産婦人科は十分な体勢が取れて無いと言う事の表れだとも言えるでしょう。そこで思い出して欲しいのが、同じく、今年印象に残ったニュース、赤ちゃんポストがある。

『育てられないならば中絶をすればいい』

そんな意見も数多くネットで散見した。しかし、この妊婦のたらい回し事故が大きな社会問題となり、産婦人科の医療が十分では無い場合がある事が顕著になった事で、”医者に頼れば、病院に頼れば、何とかなると言うものでは無い”事が、やむを得ない何らかの状況に陥った上で中絶を希望する妊婦の場合でも、満足な対応が受けられない場合もあるのではないかと言う点は、多くの方が了解の範疇に入る状況になったと思う。中絶を前提とした、無責任な親が悪いと言うような短絡的な決め付けには、安心して任せられる安全な中絶が公平に満足に行われると言う要素も必要になるのだ。

その事は、解説記事”赤ちゃんポスト半年” の文中でも、垣間見えるように思う。

 昨年11月からの1年間、病院には電話や来所で妊娠・出産の悩み相談が362件あった。2005年度の70倍以上だ。ゆりかごを許可した熊本市も、この半年間で480件以上の相談を受けた。
 「妊娠が分かったら交際相手が逃げた」「臨月を迎えてから病院に相談したが、受け付けてくれなかった」。こんな相談が病院に相次いだのは、妊娠・出産の悩みの受け皿となる機関や施設の機能が全国的に十分に整っておらず、身近ではないことが背景にあるだろう。恵泉女学園大の大日向雅美教授(発達心理学)は「妊娠や育児に悩む親は、どこへ行けば誰が助けてくれるのか知らないケースが多い。ゆりかごはそういう親のシンボルタワー的な存在になった」と指摘する。
http://www.yomiuri.co.jp/iryou/news/iryou_news/20071128-OYT8T00074.htm


今年、赤ちゃんポスト(こうのとりのゆりかご)に預けられた赤ちゃんは8人だったらしい。8人の命が救われたと言う事だと解釈する。しかし、赤ちゃんポストの存在が広く告知された事で、逆に、赤ちゃんポスト(こうのとりのゆりかご)のような受け皿機関を必要とはしない社会へと一歩前進したのではないかと、期待を込めて、私は思う。

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