丁稚奉公は復活するのでしょうか?

2009.02.23

 ニュースサイトを徘徊していたら、不況関連の記事中で、兵庫県の某県立高校の新1年生の40%もが、生活保護世帯だと言う一文が目に止まった。深刻な景気の悪化が進行しているとは言え、この結果は驚くべき数字だ。また、このような数字が継続する事は、生活保護制度存続も危機的状態になると言えるだろう。

既に、学歴社会は崩壊し、実力優先主義に向かってして久しい。大卒である事だけで、将来が安泰であるかのような保証は無い。もちろん、学歴優先主義に戻せば、健全な格差社会では無い、金持ちしか金持ちになれない、貧乏人に生まれれば一生貧乏人かのような、既得権者の為の格差固定社会になるだろう。この世に生を受けた時から、高額な教育費と存分に学べる時間が与えられた者のみが、学歴を取得できる差別化された社会へと進む事は容易に想像がつく。

安定的な収入が得られるとされる地方自治体の臨時職員募集でも、先日見た報道では450倍以上と、考えられない数字だった。(因みに、私達の頃は、自治体に就職を希望するような者は皆無だった。保険の為に資格だけ取った友人が例外的に1人いた程度だろうか。もちろん、その友人の就職先は某N社でしたが。)

だとしたら、学歴の為だけで進学をする必要はもはや無い。より、現実的に生きていく術を学べる場へ進むべきだろう。
もちろん、専門学校なら就職率が良いと言う事も無い筈だ。
最も有力と考えられるのは、早い内から、現場に出て手に職をつけておく事で、即戦力として評価され、就職に強く繋がる事だろう。

大げさな言い方をすれば、昔の丁稚奉公のような物だ。簡単な仕事を任されながら、生活や教育面などで多少の面倒も見て貰える。若い内から色々な仕事を体で覚えていれば、職にあぶれる事も無いだろう。
しかし、その為には、雇用・労働に関する法律の規制緩和が必要かも知れないし、現代社会では、義務教育課程の他人の子供を扱うのは、並大抵の労力では出来ない事なので、雇用側としてもかなり難しいのかも知れない。この小子化の時代、親御さん達との強い信頼が構築されていない事には無理な話だ。もちろん、子供の教育を放棄するのが目的のいい加減な保護者や、安い労働力と見る雇用者などが悪用するなどは論外の話だ。

考えられる一般的なケースは、自宅から通える近所の馴染みの商店での、簡単な仕事の手伝い程度だろうか。報酬は金銭的な物では無く、物(商品)などで貰う事になるとか、そんな程度だろうか。少なくとも現法律では、自発的に、労働をしながら、高い技能を若い内から身につける事は出来ないのだろう。(法律には門外漢なので、詳細な言及は出来ない)

思うに、今のような雇用に対する不安感の1つは、(自分が)できる仕事が限定されている(と思ってしまう)事で生じる物ではないだろうか。
賃金等の労働条件もあるだろうが、今の深刻な不景気の日本でも、目を見開いて探せば、正社員等として雇用される仕事が無いと言う訳では無い。慢性的に人材不足の中小零細企業は、今も少なくは無いようだ。
そう言う意味で、仕事に対する苦手の克服や偏見を若い内にしておけば、職にあぶれる事もそんなには無いのではないだろうか。

まぁ、現代版丁稚奉公的な子供の労働技術習得を兼ねた教育環境の実現は難しいかも知れないけれども、現状、学校が行っている企業への出張授業を、企業の社会貢献PRなどや、仕事や企業に興味を持たせる程度だけで無く、実際に労働に参加させる機会を増やすなどの方向に持って行くなどは、必然的に変化して行くのではないでしょうか。既に、一部の学校では社会体験実習などが実施されているようですが、より一層盛んになる事は、労働力不足が危ぶまれる事が言われて久しい、少子高齢化社会にとっても良い事です。

こんな事書いてる私自身は、丁稚奉公の経験はありません。昔、子供の頃は、説教や折檻をされた時に、「丁稚奉公に行け」などと叱られた事もあり、個人的にはあまり良い言葉では無いのです。(おわかりと思いますが、蛇足ながら説明すると、丁稚奉公に行けと言うのは、「お前のような子供はいらん、出ていけ」と言う意味でもあります。) しかし、丁稚奉公的に住み込みで学びながら働いた人は、毎日が合宿のようで、案外楽しくて、感謝していると言う話も聞きます。

小子化で兄弟もいないような一人っ子が多い現代では、兄弟のように親しく共に過ごせる仲間が出来る思い出は、人生にとっても、かけがえの無い物になるのかも知れませんね。

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