商売人は好きでなければできないお仕事

2005.08.31

 てんぷら屋はなぜ潰れないのか?で始まった今月の日記ですので、最後も、私の知っている商売の話。

代々商売人の家に生まれた子せがれとして言わせて頂ければ、会社企業の営業マンなどでは無く、商売人としての社長業、会社経営と言う場合、商売が好きでなければ、無理です。商売は利益を生む時もあれば、生まない時もあり、期間的に見れば、赤字かトントンの時のほうが長いんじゃないでしょうか。”商いをする”と言う事は、日々、”あきないで商売の事ばかりを考える事”ですので、そのようなモチベーションを何年も辛抱強く保つ事ができるかどうかが重要です。もちろん、利益が上がれば嬉しいですが、全く利益にならず苦境すらも愉しめる資質が必要だと思います。

そう言う意味では、利益を上げる事ばかりに専念する事で、一向に商売が軌道に乗らない事もあります。戦略的にビジネスができる恵まれた方は、既に何らかの会社の組織的な基礎や強いコネなどがあって前進できる訳で、その基礎すら無い状態では、世間一般、巷に溢れる耳障りの良いビジネスの理屈はあまり意味を成しません。日々、”現場”から教わる研究と勉強の繰り返しです。そして、その状態をずっと続けているのが大半の商売人ではないかと思います。何か、『ここを越えれば素晴らしい世界が待っている』と言う事が無いのは、サイトのアクセスアップと全く同じです。崩れ落ちる砂山をコツコツ積み重ね直しながら、少しづつ強固に大きくして行くのみです。

そして、その積み重ねて歩んで来た道が、自分の人生であり、歴史にもなっています。ですので、そのノウハウなどを、時としてライバル企業にすら何の見返りも無く、無償で提供するような事もあります。たとえ、利益をもたらさず不利益になっても、培ってきた商売の技術や知恵を残し、その産業全体が長く栄える事のほうに重点を置くからです。そして、それが金銭的な利益以上に嬉しいのですよ。

 さて、オレオレ詐欺ほどではなくとも、お金を儲ける為には全く手段を問わない事が当たり前のようなご時世で、自己の金銭欲を満たす事のどこが悪いかのようにすら平然と自分のサイトなどにも書いている者も少なく無い昨今ですので、商売人が利己的では無いかのような事を書けば、奇麗事などと失笑されるかも知れない。そこで、元経団連名誉会長の事を思い出して欲しい。一般の商売人と比較するには業績のスケールがあまりにも違い過ぎますが、当時、年収5100万円もありながら、実質、月8万円で生活をされていた。TVで放送された朝食のシーンなどの私生活をご記憶の方も多いでしょう。ご存知メザシの土光さんの事です。流石に土光さんほどでは無くとも、私の知っている昭和の初めや明治・大正生まれの会社経営者の多くも、私生活などは至って地味で、土光さんだけが極めて特異な存在では無かった事も強調したいと思います。

その土光さんの晩年、臨調会長として粉骨砕身、尽力されながら、残念ながら実現に至らなかった行革。その遺伝子が、今の行革にも受け継がれているのだと私は思います。特に、中小零細企業にとっては大きな痛みを伴う行革でありながら、今尚、耐え抜けるのは、あの土光さんがいたからこそであり、その思いを同じくする経営者が決して少なくは無いからではないかと思う次第です。

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