感懐:大人がアニメや特撮番組を観ると言う事

2005.05.22

 最近は、どうなのだろう? OVA以外でもTVで観れる(明らかに子供には理解し難い)大人向けのアニメ番組や特撮番組がここ何年か(もしかしたら10年程度?)増えているように思う。見る側の主役を子供の付き添いとしての大人から、大人が見るから子供も一緒に見るかのようなそんなスタイルを意識しているかの作品が増えたような気がする。(子供が主役でも、内容的には幼い子供には理解できない筈の、推理アニメ、名探偵コナンなども、長寿番組化の気配がありますが、その一例ではないかと) で、その一方で、『なぜ大人なのにアニメなんか見るの?』と言う問いも根強くあります。一時期のピーターパンシンドロームでは無いですが、大人になりきれてない大人と言うのも確かに未だいるとは思いますが、そう言ったカテゴリーに属する人が、果たしてこの生きて行く事すら難しい時代に大勢が占めているようには思えません。

ここでは、何故、イマドキの大人がアニメや特撮番組を観るのかについて、息抜き程度に考察し、自分が何故アニメなどを観ているか紹介してみたいと思います。

アニメや特撮は、作品の手段に過ぎない

 アニメと言っても、昔の電動紙芝居のような質の低い物では無く、明らかに大人が見るに耐えうる作品が増えていますが、その理由について、需給関係で言えばどちらが先かは不明ですが、一種の独自文化的な発展の仕方をしたと、ここでは簡単に片付けます。

では本題に移りますが、大人になってくれば、自ずとアニメや特撮に飽きてきて卒業し、より質の高い映像作品へと流れると言う考え方は、間違いではありませんが、それも古い考え方です。大人が見るに耐える、シナリオ・設定・映像であれば、”TVドラマ”である必然性は無いのです。手段として、動く絵(アニメ)や、特撮などの映像技術を駆使した、”大人向きの面白いドラマ”であるならば、(一般の)TVドラマをあえて見る必然性も感じないとも言えます。逆に言えば、それほど強烈な映像作品の牽引役となりうる日本のスター俳優が不在であるとも言えます。これは、某国営放送で、韓国スターの番組が高視聴率で放送され、その後も長期に渡って、韓流ブームが続いている事からも推察できます。

日本のTVドラマを観ない理由を考える

 最近は、日本の役者が出ているTVドラマを見る機会が減りました。大人がTVの娯楽番組を見る場合、テレビドラマなどが主流であった筈なのですが、それが大人も見るに耐えうるアニメ・特撮作品によって見なくなっているかと言うと、そうでは無く、それ以外の理由があるように思われますので、考察してみようと思います。

・映像がハイビジョンや地上波デジタル放送などの高品位になるに伴い、俳優・タレントの容姿などが些細な点迄見える事で、スター性が損なわれている面がありそうだ。

映像が高品位になるほど、観えて無かった部分と言うのが見えます。”あぁ、この人はカツラだったんだな”とか、”意外と肌が荒れている”など、それで親近感が沸けば良いのですが、普通の人とあまり変わらないと思うと、言ってる(喋ってる)内容(セリフ)にしても、それほど熱心に聴こうと言う感じは無くなります。地上波アナログのTV映像が持っていた、”ぼかし”のフィルターがあった事で、或る程度の映像の補間を(綺麗に撮れている写真などの脳裏に焼きついた映像から)行いながら、観ていた節がありますが、その”想像”の部分が必要無くなり、そう言った点を考慮していない映像作品・番組の場合は、スター性が損なわれてしまうのではないかと思われます。

・レンタルDVD,デジタル放送,ケーブルTVなどで映画が手軽に安価で、高品位にTVでいつでも観れるようになってきた。

数十年前よりも、映画館の数は減っても、映像の出口(1世帯辺りの高品位な映像再生可能なモニター・ブラウン管の数)が格段に増えていると思いますが、同様に、映像の入り口も増えていて、ざっと上げると、レンタルDVD/ビデオ,デジタル放送,ハイビジョン,ケーブルTV,BS,CSや、インターネット配信動画などがあります。(ラジオですら、デジタル化し、動画付放送になるらしい) また、料金も安く、DVDも新品でも(場合によってはB級作品などの特価で)100円程度からありますし、借り放題の定額制レンタルDVD、低料金のオンラインデマンド動画などに加え、地上波デジタル放送などは無料で、DVDレコーダーで簡単に検索予約して保存された物を、好きな時間に見るだけでいいのです。

・面白そうなTVドラマを探すよりも、最初から面白いとわかっている映画を見るほうが良い。

TVの多チャンネル化も影響しているかも知れませんが、何が面白いのか、何が人気があるのか、わかり辛い状況なので、映画でも観ようかと言う形になっているように思われます。また、作品の内容よりも、ネームバリューの高い役者・タレントに依存していた時期が長く続いた事や、TVドラマを観る者でも、DVD/HDDレコーダー利用の普及などによって、同時視聴的的な連帯感や話題性が薄れ、TVドラマファンが減ったのではないかとも思われます。また、面白さのバロメーターであった視聴率も、DVD/HDDレコーダーなどの視聴率に含まれない録画機器の利用増加で、お茶の間リアルタイムで見る可能性のある、ゴールデンタイム以外の番組がわかり辛くなっている点も影響しているでしょう。

・面白いドラマならば、外人でも日本人でも特に問わない(例:冬のソナタ,ER,24など)

昨今の日本人の国際化意識によるものも影響しているとは思いますが、例えば、”奥様は魔女”,”ソワイライトゾーン”,"バイオニックジェミー"などなど、昔から海外のTVドラマでも人気作品はあり、面白いドラマならば、日本以外の作品でも受け入れられる土壌はあると言えるでしょう。

TVのアニメや特撮番組は、大人にも見やすくなった。

 TVドラマを観なくなった理由の1つに最新の映像関連機器が影響しているのに反し、アニメなどはこれらの機器が影響して見やすくなっている面があります。アニメなどは、通常、仕事・勤務時間か、就寝中や早朝の時間帯に放送されている事で、リアルタイムで見る大人は少ないと思われますが、DVD/HDDレコーダーなどのTV画面上のアニメ番組一覧、カテゴリーなどからの簡単な録画予約機能によって、時間帯を気にせず、録画する事が可能になった事で、自分の都合の良い時間帯に気楽に観れる状況になっています。逆に言えば、このような(まだ比較的高価な部類に属する)映像機器を気楽に買える世代や趣向を持ったアニメ作品を作る事で、映像作品の需要が増えるとも考えられます。

私の場合は、最初からアニメや特撮番組を中心に録画するつもりでDVDレコーダーを購入した訳では無く、後述の”お茶の間のテレビに何を求めるか”で書いた理由を含め、買った後で、撮りためて行く番組が、自然とこれらに変わっていったと言う所でしょうか。私のパターンとしては、概ね以下の通りです。

”ゴールデンタイムにやってるようないつでも観れそうな番組ならわざわざ録画しないでいいだろう”
⇒”自然と早朝・深夜・勤務時間中などのいつもは見れない時間帯の番組の一覧に目が行く”
⇒”こう言った時間帯にはアニメなどが多い”
⇒”昔のアニメや特撮番組のリメイク版などもあり、懐かしさから、とりあえず録画予約してみる”
⇒”観ると大人の鑑賞にも堪えうる作品が意外と多く、チラ観程度でもとりあえず録画予約は継続しておく”
⇒”気がつけば、撮り貯めた番組が多く、暇潰し的なゴールデンタイムの番組は殆ど観なくなっている”

上質なアニメ・特撮作品が増えた理由を考える

 先にも述べた、最近の映像機器が影響している以外の理由の1つには、アニメ・特撮番組などは、一般のTVドラマとは異なり、多少のコストがかけられる事で以前ならば、OVAや劇場作品にするほどの、優れたTV番組ができるのではないかと思われます。日本のTVドラマ作品などは、海外での需要はあまり無いようですが、例えば海外旅行に行ってホテルのTVで観た番組が、ドラゴンボールやポケモンなどの日本のアニメであったなどの経験のある方も少なくは無いと思われますが、アニメや特撮番組は、国内のみで無く、海外での需要もあります。また、DVDなどのメディア販売や、キャラクターグッズ・子供向け玩具などの2次的産物の販売もあり、TV放送(の広告費等)のみの利益を考慮すれば良い作品では無く、世界市場を意識できますので、余裕のある企業では、より優れた作品に挑戦できるのはないかと推測します。

また、同時に、上質なアニメや特撮番組を制作するコストのほうも、アニメ関連の専門学校などの増加や、デジタル化、或いは人件費の安い海外での制作などにより、コストダウンを実現しているのではないかとも思いますが、私は詳しくは知りません。

アニメや特撮はインターネットで話題になり易い

 アニメや特撮番組の場合、視聴者の主役が、若年層(10代〜20歳前後迄)と言う時間的余裕のある学生を含むと言う事もあり、番組のファンサイトが作られ易く、ファン同士が盛り上がり易くなっています。また、最近流行のブログにしても、アニメ番組や、仮面ライダーシリーズなどの特撮番組の話題が多く、ブログサイトのランキング上位である事も珍しくありません。(因みに仮面ライダーシリーズは、公式サイトもテレビ朝日では、常時上位の模様です) 公式サイトのファンサービスも多く、壁紙・スクリーンセーバーや、(予告編などの)動画などもある物も少なくありません。(最近の人気アニメ、アクエリオンなどは、無料素材として、大量の画像をHPやブログで自由に使って良いと公式サイトで配布しています。また、ガンダムSEEDシリーズなどは、フレッツADSL加入ユーザーならば、フレッツスクエアで無料で見れます。)

他方、TVドラマの場合、視聴者の主体の世代にウェブ製作の時間的余裕が無く、閲覧する側にいる事もそうでしょうが、TVドラマでは大物俳優や人気タレントを使う事で、著作権問題の他に、肖像権問題や事務所などの問題があり、公式サイトですら、キャストの写真掲載も少なく、一部の人気番組を除いて、盛り上がる要素が欠けているように思われます。

 インターネットをしている者ならば、巷のサイトで口コミ的に話題になっている作品ならば、少し見てみようかと言う気になると思いますが、アニメや特撮番組の人気の牽引役に、インターネットが貢献している面が少なからずあるように思われます。

お茶の間のテレビに何を求めるか

 さて、ここからは、完全に主観的で個人的な意見、見解中心で述べていこうと思いますが、私の場合、お茶の間で見る番組ならば、真面目な番組、ニュース・報道・政治やドキュメンタリー関連以外ならば、どれも”作り物”なので、同じように観ています。

TVドラマの場合、アイドル主役のケースが多く、歌って、踊って、バラエティーも出て、ドラマにも出ているタレントならば、役者としての演技を見ようと言う気持ちにはなれず、また、妻帯者としては、今更、トレンディー系などの恋愛ドラマ番組を好んで観たいとは思いませんし、真剣になって見れそうも無いですし、毎週欠かさず、真剣になって見るエネルギーも無いです。

また、トレンディードラマ以外でも、現実社会をテーマにしたドラマなら、日々、ドラマの連続ですから、非日常に憧れ、見たくなる事も無いんです。今の(家庭環境・家族関係における)生活に不満があったり、退屈な人生を歩んでいる訳ではありませんから、そう言った類のドラマには魅力を感じません。(恋愛に関しても、ありきたりな恋愛ドラマ以上の話は身の回りに幾らでもありますし) ドラマを見るならば、自分達の生活とは離れた部分が大きい作品であるほうが魅力的に感じます。そう言う意味では、TV番組は、外人の生活が垣間見れる海外番組のほうが面白いですが、それ以上に仮想現実的な面が強い、ドラマとして見る事もできる映像作品のほうが面白いとなる訳です。

TVドラマ以外の視聴者参加型、素人いじり風などのバラエティーであっても、相応の企画やシナリオがあり、場合によってはセリフすらあって、撮り直しがあったり、継ぎ接ぎだらけの編集もある、”作り物”だと思います。視聴率を稼ぐ宿命を背負ったゴールデンタイムの番組などならば、あっても不思議では無いでしょうから、特に”ヤラセ”などと厳しい目で見る事も無く受け入れています。バラエティーですから。

お笑い番組にしても、”笑いの指向”を搾った”若者にしかわからないお笑い”や”地域性などのある笑い”を主な芸風とした芸人が出演している番組が増えている事で、笑えませんので、あまり好んで見る事も少なくなっています。更に言えば、日々の生活で、テレビを観てまで笑いたいとか、笑わせて欲しいと思う事も無いんですね。それに、笑いに関しては、ネットのほうが面白いでしょう。探せば、幾らでも笑えるネタがありますし…

お茶の間のTV番組と言えども、貴重な時間を費やすのですから、(単なる視聴率稼ぎで無い)映像作品としての作り手の気持ちや意欲などが強く感じ取れたり、清涼感などの清清しさ(すがすがしさ)を感じれたり、脳をリフレッシュする事ができたり、疲れている時に元気が出たり、気楽に生き抜き感覚で観たりする、映像としての美しさを感じれるなどの作品のほうが良い訳ですが、そう言った要素を満たす番組の選択肢が非常に少なく、アニメや特撮番組の中には、それを見出す事ができる物があると言うのが、最大の理由のような気がします。

最後に…

 もちろん、『冬のソナタ』や『世界の中心で…』のような話題作品や、ニュース・報道・情報番組以外の、一部のバラエティー番組なども観ますし、夫婦の間でアニメや特撮番組の内容が話題になる事も滅多にありません。夫婦で趣向があわない訳では無く、双方共に面白いと思ってますが、何か”語る”ような事もありません。たまに、『妻:観た?』『私:観た。面白かった』と言った感じ。TV番組などをテーマに長々と語る場合は、主に政治・経済やニュースに関連した類の物が圧倒的です。あと、たった15秒の間に凝縮された中身の濃い映像作品としてのCMなども時々話題になりますね。

 ともかく、DVDレコーダーの影響は大きいですね。ビデオだったら、録画予約すらしてません。基本的には、アニメよりも(特撮世代なので)特撮好きで、昔の怪談・幽霊物、怪奇番組の流れを汲む日本文化としての(昔はこんな言い方はしませんでしたが)特撮映画、特撮番組は子供の頃から観ていましたので、ここ数年の番組(ウルトラマンや仮面ライダーシリーズなど)も興味はありましたが、観たい番組でも続けて観れる事はありませんでした。手軽なDVDレコーダーが無ければ、もしかしたら、実父のように、TVはニュースしか観ない人になっていたかも知れません。

 長々と書きましたが、一言で私がアニメや特撮番組を観る理由を言えば、『大人も観れる娯楽的な番組を探せば、これらに行き着いた』と言うところなんだろうなと思います。逆に、大人だから、ジャンルには一切、こだわって無いんだろうと思います。そもそも、人気番組の作り手は、私よりも年長者の作品も少なく無いのですから、面白く無い筈が無いのでしょう。

あと、外交ベタな日本における、諸外国との友好的な発展に必要不可欠なアイテムとして有効性の高い、数少ないジャパニーズエンターテイメントの中で、広く世界に通用し、今尚、人気が上昇し続けているとされる、アニメや特撮文化を育てて行くのも、大人の責任ではないかと言う考えを、随分前から持っている事も、今も尚、見続けている事の理由だと思います。

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