阪神大震災から10年。震災は人災。
旧完全無料お得サイト集の頃から、阪神大震災の体験の話は初めて書くと思うけど(と言うか、震災体験者である事も書いて無かった?と思います)、阪神大震災の時、起きてました。
震災発生
と言うか、数時間前にベッドに入って、眠っていた筈なんですけど、しっかり、最初の音を覚えています。最初の音が、低い地鳴りのような音と言う方もいますが、それより前に、イカヅチが間近に落ちたような音に似た、”パーン”と言うか、”バーン”と言うか、比較的大きな音なのですが、少し乾いた感じで やや長い音です。少し遠くである事(家のすぐ近くでは無い)は、すぐわかりました。
最初の印象は、北朝鮮からノドンミサイルが飛んで来たのではないか。と言う事で、全身に緊張が入り、暫くしてかなり低い音の到来と共に家が揺れ始め、(多分)数十秒程度後には、部屋の中が沸騰しているような、凄まじい音、巨大な重機か何かで、家がもぎちぎられてるような、壊されかかってるような、 家を誰かが巨大なハンマーで叩きまくっているような、ゴジラのような怪獣にでも、家が襲われてるのではないかと本気で考えている間に、暗闇の中、得体の知れない恐怖と緊張で、心臓が胸から飛び出しそうな状況で、体が宙に浮き、『あぁ。死ぬんだ…』と覚悟をきめたのですが、生きていました。(あとで見ると、枕元にあったステンレス並みに硬質なスタンドの 厚板のスチールの傘が、飛んできた数Kgのスピーカーでぐにゃりと曲がってましたので、ちょっとズレてたら、本当に死んでたかも知れません 。あぁ、体が宙に浮いたのは、幽体離脱などの類ではありません。地震のエネルギーによって、宙に浮いただけです。)
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震災から1〜2週間ほどして、似たような文章を、(当時の政治・行政の批判を含めて)よりアグレッシブな内容で、当時のパソコン通信の草の根BBSにアップしたのを覚えています。(探せば、どこかにログがある筈ですが…)
震度7体験装置など、実際に私はそのような装置で疑似体験した事は無いですけれども、TV番組でそのような装置が動作しているのを見ると、直下型の震度7は、到底あのようなレベルの物では無いですね。もっと周波数は短いし、部屋中の物が(多分)全て浮いてます。古い家は全て、本当に怪獣が踏み潰したようにペシャンコ。鉄筋の新築の家でも、マッチ箱を壊したかのように壊れてました。
数日後、声無き号泣、嗚咽で泣き崩れる人々。多くは窒息死。一向に来ない救援。無力感と怒り。視聴率が稼げる衝撃的映像番組の為の取材地としての被災地。
1〜2週間後、老人・弱者よりルールのお仕着せ重視。手続きが取れてない者には支援はしない。救援物資は配布より腐敗処分。お役所仕事がまかり通る避難所。遠方からのボランティアにも役所的ルールをお仕着せ。マスコミの目が無い事で好き放題。ただでさえ情報を入手すべき手段が絶たれた状況で、震災・救援情報など老人家庭が知る術も無く、手続きなど取れている筈も無い。
震災の印象
古い家は見事に潰れる。新しい家でも潰れる。潰れなくても、家の中にある物が凶器となって襲ってくる。
倒れる物、割れる物、自分の頭より上にある物、全て凶器。下にあっても、跳ね上がる恐れのある物も凶器。
水は大事。何よりも水が大事。風呂の残り湯も捨てない。地震で大半が溢れ飛び、残った汚濁した水でも、生きていく為には必要。
役人・公務員は、給与・報酬が貰える仕事故の住民サービス。見返りが無くて、サービスなどできる訳は無い。ボランティア意識は全く期待できない。住民よりも自分や家族の身のほうが大事。公務員である前に被災者になる。
火事は怖い。暗闇の空を重いオレンジ色で覆い、人を焼いたような匂いをさせながら、火の粉を散らす夜が続く。しかし、消防自動車の音は滅多に聴かない。尚一層恐怖を感じる。
面白かったのは、火災が怖くて、ゴーストタウンの自主的夜警もあって、1週間ほど殆ど眠らなかったので、魑魅魍魎(ちみもうりょう)と思われる物を初めて夢で見た事。無数の人や魑魅魍魎の類が、何も語らず、じっとしているシーンがずーっと続き、その後、その内の何体かがこちらに気づいて、こちらをじーっと見つめて、全ての魑魅魍魎がやはり何も語らず、ただ、こちらをみつめて… 多分、恐怖で声を出して飛び起きたような記憶があります。未だかって観た事も無い(クリーチャーの)映像で、今も残念ながら、思い出す事もできない物です。(例えば、永井豪のコミックや欧米のSFX映画に出てくるモンスターなどと言う物でも無いので) 起きた後で、家族や知人にこの夢の事を話まくりましたが、ともかく、相当、神経がまいっていたんでしょうね。(もしかしたら、その夢を見る数日前に、避難所となった図書館にいた、うなだれたまま、微動だにしない全身真っ白な無表情な老人達を、窓越しで見たからかも知れませんが…。ただ、あの時、死なずに生きていた自分を恨めしく責められていると言うか、死んだ事を理解せずに死んでしまった者が多かったんだなと言うか、そう言った思いを強く感じたのを覚えています)
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近くでも家族同士での殺傷事件もあったらしい。極限状況下のストレスが暴発すれば、予想できない行動を取る者もいると言う事でしょう。
交通事故は最初こそ、大きな事故もあった。しかし、陥没道路も多く、信号機も動作していない割りには、事故は少なかったのかも知れない。
震災ストレスは怖い。復興で家や道路、ライフラインが再建され出すと、その工事の僅かな振動や音でも地震と感じる。その期間が1年以上も続けば、病気の老人や弱者なら死んでも不思議では無い。それらの死者の数は、震災による死者数に入っているのかどうかは私は知らない。健常者は死ぬ事は無いが、一気に老化が進む。
地域コミュニティー破壊は、向こう三軒両隣の環境で育った弱者的老人には致命的。仮設住宅は抽選。身寄りの無い(亡くした)年寄りが、新しい土地で、すぐに仲良くなれる人が新しいお隣さんになる保証は無い。老人の孤独死が多かった。近所づきあいが更に無くなる復興住宅では更に厳しく、孤独感を感じる。本当に、被災者重視で最善を尽くした結果なのだろうか。
震災の噂
消えた噂1:何故か、火災が都市計画の区画にうまく沿って焼失したと言う噂を数多く耳にした。残念ながら、ネットで調べても、今もその事が書かれているような記事は無い。新聞・週刊誌などでは、報道されたかどうかは不明。当時の震災前の都市計画概要と現況を比較すれば、わかるかも知れない。ニュースステーションで、久米宏氏が、被災者支援よりも都市計画重視の行政のあり方を、執拗に指摘していた事は記憶に残っている。
消えた噂2:震災以前に、国内のどこかの地震学会で、東海地震よりも、神戸、阪神間などのほうが危険と述べた外国の学者がいたらしい。それが、デマ的な物(毎日のように日本のどこかで大地震が来ると言っていればそれは当たる)か、適切な研究に基づく評価しうる物だったのか、残念ながら今はわからない。震災後の新聞にも載っていたような記憶があるが、ネットを検索してもそれらしい記事は見当たらなくなった。
消えた噂3:自衛隊を派遣できない、自衛隊が(海から)上陸できないのは、政治的な理由による所だと言う噂があった。現在は、行政的な手続き上の問題で(震災により、中央の行政府への支援連絡手段が無く)遅れたと言う事になっている。
消えた噂4:公務員も被災者であるが故に救援活動ができないと言う事だった。よく目にしたのは、地元住民同士による助け合いに、全国から派遣された警察官・消防官と、毎日のように遠方から歩いてやってくるフリーターや学生などによる、ボランティアの行軍。しかし、震災番組では、活躍したとされる地元の地方公務員が、年を追うごとに目立つようになり、ブラウン管では、半ば英雄的な扱いすら感じるようになってきた。
消えた噂5:記憶からも消えています。(正確には記憶がぼんやりとしていると言う事や、際どい内容ですので…) 他にも数多くありましたが…
死んだ者が生き返る事も無く、大規模な復興事業がより改善されるべく見直される事も無く、今更、行政を批判する気もさらさら無い。また、真実を追求する気も無い。(そんな余裕は微塵も無い小市民ですし…) ただ、震災の時に、私が聞いた事が、今、ネット上で検索したり、マスコミなどでの報道、当時政治家だった者のインタビュー番組などで聞く限り、それらの噂が、 理由は不明ですが、どうやら消えているようだと言う事を申し上げておきたいと言う事です。
震災は人災
震災10年、節目と言う事で、前から書こうとは思ってましたが、マスコミが思った以上に特番を組んでますので、(多分、一生)ひねくれ者な私は、書かないでおこうかと思ったのですが、一区切りと言う意味と、 今年書かないと、多分、もう一生書かないだろうと言う事や、マスコミ発では無い、扇動や感化されてない自分自身の記憶に基づく、被災者の声として、今後、日本のどこかで起こりうるであろう大震災で、もしかしたら、何かの役に立つかも知れないと思い、書く事とさせて頂きました。
最後に。震災は人災であると言う事。それは、震災対策を怠った行政・自治体による影響の部分もありますが、常日頃、人と人とのコミュニケーションを重視し、尊重しておかないと、非常に辛い立場に追いやられる可能性があると言う事。特に、極めて甚大で大規模な震災が大都市圏で起きた場合、近隣との繋がりが無く、生活をしている者は、致命的な状況に追いやられる可能性があります。埋まっても助けが来ると言う保証はありません。避難所に入れると言う保証もありません。救援物資の配布が受けられると言う保証もありません。ましてや、震災情報が手元に届き、ライフラインが復旧すると言う保証もありません。
震災対策は、天災としての大地震から身を守る事も重要ですが、震災後の身の安全を確保できうる人間関係を、日頃から構築しておく事のほうが、もっと大事な事ではないかと思う次第です。
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追記:神戸は外から見る者に優しく、中に居る者に厳しいと言う傾向のある土地柄の自治体であろうと思われます。幸運にもそう言う対応にあわれない方も多数いらっしゃるでしょうが、それは、震災以前からそうであり、震災直後も、現在も変わりありません。いわゆる、”神戸市株式会社”の為に存在する住民であって、ここでは書けないような酷い対応も、平気で冷酷にされるのが(地方)行政です。それは、どのような境遇の世帯に対してであっても変わりありません。第3者的立場で被害を受けた場合、それを声にする事は、もうできないと思われますが、自分や自分の家族が、もし今後も相応の被害を蒙った場合、私はネットを通じ、より一層、声を出していこうと思います。
震災時、震災直後の行政に対しては、もう個人的な怒りなどは、殆どありませんが、多分、私は一生涯、神戸の行政・自治体を許す事は無いでしょう。
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